知的財産法(1)−知的財産って何?−
今回から新連載です。
テーマは「知的財産」。難しい言葉のようですが、現代の企業経営においては無視できない重要な問題ですので、ぜひ一緒に考えてみましょう。
Q1.「知的財産」って何ですか?
A.一般に、「財産」といえば建物(不動産)や宝石(動産)のような形のあるものを思い浮かべるかもしれません。これを有体財産といいます。
ですが、財産の中には形のないものもあります。人の知的な活動から生み出されるアイデアや小説のストーリー、音楽などを考えると分かりやすいでしょう。こうした形のない財産を、無体財産、または知的財産と呼びます。
そして、建物や宝石に「所有権」が認められるように、知的財産についても、「知的財産権」として一定の権利が認められているのです。
Q2.なぜ権利を認める必要があるのですか?
A.たとえば、あなたの会社が画期的な技術を開発したとします。しかし、他社がそれを自由に真似してもよいというルールであれば、開発に多額な費用を投じたあなたは非常に割に合わない思いをするでしょう。今後の新たな研究開発の意欲を失ってしまうかもしれません。
これでは、新しい技術の発展はなくなり、日本の産業にとって大きな損失となります。そうした事態を防ぎ、新たな研究開発を奨励するため、権利を認めて保護する必要があるのです。
Q3.権利が認められると何が言えるのですか?
A.たとえばQ2の例では、真似をした会社に対して、その技術の使用を差し止めたり、真似をされたことによってあなたの会社が被った損害を賠償するよう請求することができます。
逆に言えば、あなたの会社が真似をすれば、権利者からこうした請求を受けてしまうということです。権利を持っていない会社でも知的財産の知識が必要となる理由は、ここにあるのです。
2011/9/28
弁護士 鈴木哲郎
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)
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