債権の回収(7) 根保証
前回、単純な保証と連帯保証についてお話ししました。
保証には、これらのほかに、さらに「根保証」というものがあります。
根保証とは、難しくいえば、「一定の継続的取引から発生する不特定の債務を保証すること」をいいます。
単純な保証や連帯保証の場合は、保証の対象となった主たる債務(売掛金等)が支払われるなどして消滅すると、保証債務も消滅してしまいます。
これに対し、根保証は、反復・継続した取引から発生する一切の債務を保証するための保証です。
そのため、主たる債務が消滅しても、根保証債務は消滅せず、次に発生する主たる債務を保証することになります。
取引先と継続的な取引を開始する際に、取引先に保証人を立てさせるときは、必ず根保証を要求すべきです。
根保証にしておかないと、個別の取引が終了するごとに保証契約を結び直さなければならず、不都合だからです。
また、必ず連帯保証にします。資力のある保証人に対し、すぐに請求できるようにするためです。
これは前回お話しした連帯保証のメリットです。
根保証と連帯保証、あわせて「連帯根保証」。
これが債権回収に当たって非常に効果的なのです。
ところで、保証人には、取引先の代表者になってもらうことが多いと思います。
しかし、取引先が倒産するような時は、取引先の代表者も破産状態にあることが通常でしょう。
そのため、可能であれば、取引先の代表者以外の人を保証人に立てさせます。
また、保証人には、面前で契約書に署名捺印してもらうことがポイントです。
保証人に対して請求したときに、「こんな契約書に署名捺印した覚えはない」という言い逃れを許さないためです。
2011/2/28
弁護士 鈴木 哲郎
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)