離婚給付について(3)
離婚給付の第3回は、慰謝料についてです。
慰謝料というのは、一般的には「精神的苦痛に対する損害賠償」と言われており、婚姻関係の破綻(離婚)の原因を作った当事者が、それによって相手方の被った精神的苦痛を補償するために支払う金員です。
慰謝料を支払うべき破綻原因として典型的なのが、不貞行為です。
次によくあるのが、配偶者の日常的暴力により破綻した場合で、さらには、浪費等により家計を破綻させた場合や、家族を顧みずいわば家族を見捨てた(悪意の遺棄)ような場合も含まれます。
よく皆さんに聞かれるのが、慰謝料はいくらが妥当なんでしょうか、ということです。残念ながら慰謝料には、法律上決まった額というのはありません。精神的苦痛というのはケースバイケースで千差万別ですので、そもそも金銭的に評価すること自体無理があるものです。ですから、1000万円と言ったって、2000万円と言ったっていいんです。
もっとも、裁判において判断する場合には、一定の基準がないと全て裁判官の胸一つということになってしまって妥当ではないので、これまでの裁判例を基にした一定の統計的な基準というものが形成されています。
それによりますと、だいたい、違法行為(不貞、暴力等)の回数・頻度・程度など違法行為のひどさ(違法性の高さ)と婚姻期間を中心に、その他の事情を総合的に判断して決められており、だいたい100〜500万円というのが多数だと思います(例えば、婚姻期間1年程度で違法性中程度だと100〜150万円くらい)。
具体的な額については、詳しい事情を話しながら弁護士に聞いてみて下さい。
2010年7月30日
弁護士 伊藤勤也
(ホウネットメールマガジンより転載)
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(連載の他の記事は下記のとおりです)
・離婚給付について(1) 概論
・離婚給付について(2) 財産分与
・離婚給付について(4) 離婚時年金分割制度
・離婚給付について(5) 付随問題〜婚姻費用分担
・離婚給付について(6) 支払確保の方法等
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