労働者の健康と安全(8)
−労災保険の給付内容−
従業員が業務上や通勤途中にケガや病気を負ったときは、労災保険により様々な給付を受けることができます。
(1)ケガや病気になったとき
・・・療養補償給付(療養給付)※かっこ内は通勤災害の場合です。
労災病院または労災指定病院で、診察・投薬・入院看護などの給付を無料で受けることができます。
(2)療養のために欠勤して給与を受けられないとき
・・・休業補償給付(休業給付)
休業4日目から、1日につき、給付基礎日額(災害が起きた直前3か月間に労働者に対して支払われた賃金額を、その期間の暦日数で割った金額のことです。)の60%が支給されます。その他、「休業特別支給金」として給付基礎日額の20%も支給されます。
(3)療養開始から1年6か月経過後も治らないとき
・・・傷病補償年金(傷病年金)
傷病の程度が傷病等級に該当した場合に、休業補償給付・休業給付に代えて給付基礎日額の313〜245日分の年金が支給されます。
(4)障害が残ったとき
・・・障害補償給付(障害給付)
心身に第1〜7級の障害が残った場合、給付基礎日額の313〜131日分の年金が、第8〜14級の場合は、503〜56日分の一時金が支払われます。
(5)介護を要する状態になったとき
・・・介護補償給付(介護給付)
2級以上の障害補償年金または傷病補償年金受給権者について、常時介護を要する場合には月額5万6930円〜10万4960円、随時介護の場合には月額2万8470円〜5万2480円の範囲で介護費用が支給されます。
(6)死亡したとき
・・・遺族補償給付(遺族給付)、葬祭料
死亡した労働者の収入で生計を維持していた遺族の数に応じて、給付基礎日額の245〜153日分が年金として支給されます。そのような遺族がいない場合、1000日分が一時金として支給されます。葬祭を行った人には、31万5000円に給付基礎日額30日分を加えた金額が葬祭料として支払われます。
知識の羅列になってしまいましたが、いざというときのために記憶の片隅に入れておくと良いでしょう。
2010年7月20日
弁護士 鈴木哲郎
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)