離婚給付について(2)
財産分与というのは、一般的には離婚に際して夫婦共有財産を分け合うこと(清算的財産分与)を言います。婚姻期間中に形成された財産で、夫婦のいずれに属するか明らかでないものは、原則的には夫婦共有財産と推定されます(民法762条)。
そのため、結婚前から持っていた財産や、婚姻期間中に相続など他方配偶者の協力なしで得た財産(特有財産)を除いて、預貯金、不動産、有価証券等全ての財産は財産分与の対象とされます。
この清算の際の夫婦の取得割合は、財産形成に対する貢献度を考慮して具体的事情によって決められるのが基本なので、共働きか専業主婦か自営業か等、収入の形態によって変わるとも考えられますが、現在の裁判所の大方の考え方は、貢献度は相等しいものとすること(各自5割)が多いと思われます。
したがって、双方の有する財産を全部合算して、負債等を控除した後の純資産額の2分の1ずつを分けあうというのが最もオーソドックスな財産分与の考え方だと言ってもいいでしょう。
財産分与は慰謝料と違って、離婚原因をどちらが作ったかという婚姻破綻の責任の有無とは関係なく、財産を分け与えなくてはならないため、支払う側にとってなかなか理解し難いものですが、裁判(審判)になればほぼ間違いなく認められてしまうということを覚悟すべきものです。
なお、財産分与は、離婚してから2年以内に請求しないと、消滅時効によって請求できなくなってしまいますので(民法768条)、できれば離婚と同時に内容を確定しておくのが良いでしょう。
このほかにも、扶養的財産分与といって、清算すべき財産がない場合でも、扶養されていた主に妻の側の離婚後の生活を維持するために請求されるもので、経済的に弱い立場の妻が経済的に自立できるまでの期間の生活費援助的な意味を持つものもあります。
2010年7月6日
弁護士 伊藤勤也
(ホウネットメールマガジンより転載)
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(連載の他の記事は下記のとおりです)
・離婚給付について(1) 概論
・離婚給付について(3) 慰謝料
・離婚給付について(4) 離婚時年金分割制度
・離婚給付について(5) 付随問題〜婚姻費用分担
・離婚給付について(6) 支払確保の方法等
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