労働者の健康と安全(5)
−続・職場の管理体制を整える−
前回は、「安全衛生管理体制」の整備についてでした。これは、一般的な安全管理体制のことですね。今回は、特に危険な作業についての法律の規制の話です。仕事柄、あまり関係のない方もいるかと思いますが、そんなものかと思って、読んでみてください。
生産現場や建設工事現場で労働者が従事する作業の中には、適切で安全な操作を行わないと危険な作業がありますよね。例えば、ボイラー等のように爆発・破裂するおそれがある機械設備や、移動式クレーンや車両系建設機械等のように、転倒・衝突のおそれがある機械設備なんかの運転・操作をする場合です。
このような操作をする場合には、業務の内容に応じて、(1)都道府県労働局長の免許(2)都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習の修了(3)厚生労働省令で定める資格の取得のいずれかが必要になっているんです(労安法61条)。どんな作業にどんな資格が必要かは政令で細かく決められています(労働安全衛生法施工令20条を参照、http://www.houko.com/00/02/S47/318.HTM)
これは、危険な作業をする人についての規制でしたが、ほかにも危険性がある機械については、労働大臣が定める規格や安全装置を具備しないと、使用することだけでなくて、売ったり、貸したりも出来ないとされています(労安法42条、労働安全衛生法施工令13条)。
条文などを見ていただければわかると思いますが、本当に細かいところまで規制がされていますよね。それくらい危険な作業の場合には慎重にしなければならないという責任が経営者にはあるのだと思いますが、すべての規制を覚えるなんてことはとても出来ません。
大事なことは、危険な作業をすることになったときに、その作業は何か講習などなかったか、機械の安全性は基準を満たしているか、と気にかけてみることなんだと思います。とり返しのつかない事故を防ぐために。
?2010年6月7日
弁護士 加藤悠史
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)