危険運転致死傷罪における数値基準の導入
2026年6月25日、危険運転致死傷罪の法改正がされ、数値基準が導入されました。同年7月21日から施行されています。
危険運転致死傷罪は、危険・悪質な自動車の運転行為を行い、その結果人を死傷させた者を、傷害罪・傷害致死罪に準じた重い法定刑によって処罰する犯罪類型です。その最高刑は拘禁刑20年で、過失運転致死傷罪の最高刑である拘禁刑7年よりかなり重いです。
ただ、要件があいまいで、危険運転とすべき事例にも過失運転が適用されていると被害者遺族などから批判がされていました。そのため、数値基準が導入されました。
飲酒類型においては、呼気1リットルあたりのアルコール濃度0.5ミリグラム以上のアルコールを保有する状態で自動車を運転させ、人を死傷させた場合、一律に危険運転致死傷罪の対象となりました。
体重60キログラムの者の飲酒後30分経過した時点での呼気中アルコール濃度については、ビール大瓶2本で呼気1リットルにつき0.39~0.68ミリグラム程度、日本酒2合で呼気1リットルにつき0.33~0.57ミリグラム程度とのことです。
また、高速度類型においては、最高速度が時速60キロ以下の場合には最高速度を時速50キロ超える速度、最高速度が時速60キロ超の場合には最高速度を時速60キロ超える速度で自動車を運転し、人を死傷させた場合、一律に危険運転致死傷罪の対象となりました。
なお、数値基準を下回っていても、例えば、「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」と判断されれば適用される可能性はあります。
基準の明確化により、危険運転行為に適切な処罰が下され、危険運転行為が減少することが期待されます。
弁護士 篠原宏二(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)


