下請法のお話し
2024年10月22日
トヨタ自動車の子会社が「金型」を下請けの部品メーカーに無償で保管させ、経費を負担させる等していたとして、公正取引委員会が下請法に基づく勧告を出す方針、というニュースがありました。
この下請法という法律は、優位な立場にある親事業者が不利な立場にある下請事業者に対して、不公正な取引を求めることを禁止し、下請事業者の利益を保護する法律です。親事業者と下請事業者はそれぞれの資本金額によって決まります。
下請法では、親事業者に書面等の作成交付等の義務があり、必要な書類を作成しなければなりません。契約後に不利な条件を押し付けることを防ぐためです。
また、親事業者には、11個の禁止行為があります。その一例として「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」があります。例えば貨物運送を委託している下請け事業者に対し、取引とは関係のない貨物の積み下ろし作業をさせたり、上記ニュースのように、使わない金型を無償で保管させたりすることを禁止しています。この他にも「受領拒絶」といって、在庫の余剰を理由に製品を受領拒絶することも禁止されています。
公正取引委員会及び中小企業庁が下請法を所管し、違反が疑われると、必要に応じて、親事業者の事業所に対して立入検査をします。違反が認定されると、改善を指導したり、ニュースにあるように勧告をして世間に知らせたりします。
下請法は中小零細業者を保護する法律として効果があります。不利な取引を持ちかけられたらぜひ一度弁護士にご相談ください。
弁護士 村上光平(名古屋北法律事務所)
(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転機しています)