7月から新紙幣が発行されますー詐欺にご用心
新紙幣の発行
2024年7月3日から、紙幣のデザイン(肖像)や偽造防止技術が刷新されて、新紙幣が発行されました。
この目的については、偽造防止と言われていますが、その本当の目的はタンス預金のあぶり出しにある、などとも言われており、本当のところはよく分かりません。
その目的はともかく、銀行ATMや紙幣が使える自動販売機については、全て新紙幣対応の機器に入れ替える必要があり、事業者にとっては大変な出費で大迷惑であることは間違いありません。
詐欺にご用心
ところで、よく聞かれるのが、旧紙幣はいつまで使えるの?早く交換しないと使えなくなるの?といった疑問です。
大丈夫です!旧紙幣は新紙幣が発行されてからもずっと使えます。法律上、紙幣の使用期限というものは定められておらず、ほぼ永久に使えると考えて結構です。
紙幣の製造を担っている国立印刷局のホームページを見ると、1885(明治18)年に発行された「旧壱円札(大黒天のデザイン)」が現在でも使用できるとされています。「板垣退助の百円札」とか、「岩倉具視の五百円札」とか懐かしいですね。
注意すべきは、このことを知らない人に対して、「旧紙幣は使えなくなります」などと嘘を言って、お札を交換してあげますとか、旧紙幣を使うと処罰されます、などと旧紙幣を騙し取ろうとする詐欺行為が広がる可能性がある、ということです。そんな騙し文句に引っかからないよう十分にご注意ください。
「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」
ちなみに、貨幣(硬貨)については、「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」という法律があり、その種類等について定めていますが、現在通用力のある硬貨で一番古いものは1948(昭和23)年発行の穴のない五円硬貨とされています。
なお、一度の決済に硬貨を数十枚も使われると社会通念上不便なので、硬貨としての通用限度は額面価格の20倍までとされており(同法7条)、20枚を超える硬貨の使用はお店から拒否されることもあり得ます。
弁護士 伊藤勤也(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)