マイナンバーの公金受取口座登録制度
マイナンバー制度は、国内に住民票がある全ての居住者(外国人を含む)に個別の番号を付けて、それに基づいて個人情報を把握、管理しようという恐ろしい制度ですが、今般、さらにマイナンバーと個人情報との紐付けが強化されようとしています。それが今年4月1日に施行された〈預金口座付番制度(口座管理法)〉と、今年5月27日施行予定の〈公金受取口座登録制度(口座登録法)〉です。
〈預金口座付番制度〉というのは、預金口座とマイナンバーを紐づけて、マイナンバーを通して全ての預金口座情報が把握できるようにする、という制度です。今回の法律では、新たに口座開設する際に、マイナンバーとの紐付けに同意するかどうか尋ねられて、同意がなければ紐付けられないことになっています。ただ、これの適用がいつ拡大されるか分からない点と、銀行員の説明がよく分からずに同意してしまう懸念がありますので、注意が必要です。
さらに気をつけなければならないのは、〈公金受取口座登録制度〉の方です。これは、年金の振込口座に指定している預金口座をマイナンバーと紐づける制度です。
これの登録については、上記の預金口座付番制度とは違い、年金機構からの通知に「マイナンバーカードへの登録に同意しますか」というようなお尋ねがあり、これを『拒否しない場合には同意したものとみなす』という恐ろしい仕組みが予定されています。本人が知らないうちに年金受取口座とマイナンバーが紐付けられてしまうという点で、預金口座付番制度とは異なる危険性があります。(これを混同する誤った情報が出回っていますのでご注意ください)
もしマイナンバーへの登録を断りたいなら、6月以降に年金機構から何か書類(ハガキ)が届いたら、中身をよく読んでしっかり拒否回答をすることが大切ですので、覚えておいてください。
弁護士 伊藤勤也(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)