2024年4月から再婚禁止期間が廃止されます!
現在の民法では、女性が離婚した場合などに、再婚するまでに100日間待たなければならないという規定があります(民法733条1項)。これを再婚禁止期間とか待婚期間といいます。
これは女性だけに課せられた規定ですが、その理由は「嫡出推定」の重複を防ぐためです。民法には、妻が婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定する規定があり、さらに、婚姻の成立日から200日を経過した後、または婚姻の解消・取消しの日から300日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定されるという規定があります。これを嫡出推定といいますが、前婚と後婚の期間が短いと、2人の親が推定されてしまい、嫡出推定が重複することがあります。この嫡出推定の重複を防ぐために、女性には100日間の再婚禁止期間が設けられているのです
この再婚禁止期間は、以前は、6か月と定められていましたが、2015年12月16日に最高裁が言い渡した法令違憲判決を受けて、現行の100日間に短縮されました。
しかし、そもそも女性だけに再婚禁止期間を設けることは、男女平等の観点から問題があるなど、この規定の問題点は、かねてから指摘されていました。そのため、民法が改正され2024年4月1日からは、女性の再婚禁止期間は廃止されます。
同時に嫡出推定の規定も「婚姻成立後に生まれた子は、現夫の子と推定する」「懐胎時から子の出生時までの間に女性が2以上の婚姻をしていたときは、出生の直近の婚姻における夫の子と推定する」という規定に改められます。これで、再婚禁止期間を設けなくても、嫡出推定の重複は発生しません。
過去には、現夫との子を再婚後300日以内に出産した女性が、前夫の子と推定されるのを避けるために出生届を出さない事例が起きていて、子どもが無戸籍になるという問題もありました。こうした問題も解消されるものと考えられています。
簡単な規定の改定で、解消できる問題ですから、もっと早く対応できたのではないかとも感じますが、男女平等の実現という意味では、重要な法改正です。
弁護士 加藤悠史(名古屋北法律事務所)
(「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています