多様な性を尊重する社会を目指して
2023年12月15日
最高裁判所は、2023年10月25日、性同一性障害者が「本来の性」に戸籍を変更するために生殖腺除去手術が必要となる法律の条項を、憲法13条に反し違憲無効だと判断しました。
憲法13条は、個人の尊重や「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」を保障していて、憲法の深い理念を表わす、私の大好きな条文です。
最高裁は、その人が自分らしく生きるためには「本来の性」での生活が法的に保障されて然るべきなのに、そのために身体に危険が伴う生殖腺除去手術を必須とするのは、過酷な二者択一を迫るもので憲法13条違反だと15人の裁判官が全員一致で判断したのです。
この司法判断によって、わたし達は多様な性を尊重する社会に一歩近づきました。
国会は速やかにこの法律を見直すことが期待されます。そして、我々にはその国会の動きを注視し促すことが、最高裁からの宿題といえるでしょう。
弁護士 山内益恵(名古屋北法律事務所)
(「北医療生協・医療と暮らし」へ寄稿した原稿を転機しています)