鶴舞公園内での宣伝・署名活動妨害事件――名古屋市が対応の誤り認める!
昨年の「憲法九条を守ろう 2022愛知県民のつどい」(以下、「県民のつどい」)開催に合わせて、鶴舞公園内でビラまきをしたり、署名活動を行なっていた市民団体に対し、同公園の指定管理者が、「公園敷地内では条例で禁止されている」と言ってビラまきや署名活動をやめるよう妨害するという事態がありました。
それを知った自由法曹団愛知支部(以下、「団支部」)が、事実確認を行ったり、条例解釈について検討を行った結果、これらは禁止されるような活動には該当しないことは明らかでした。
2023年5月3日の憲法のつどいに先立って、名古屋市に対して、鶴舞公園内でのビラまき・署名活動に対する干渉・妨害は憲法21条で保障された表現の自由を侵害するものであることを主張し、今後そのような干渉・妨害を行わないよう、団支部として申し入れました。
しかし名古屋市は、鶴舞公園内でのビラまき・署名活動を快く思わない公園利用者もあり、当該行為は「他人の遊戯を妨げるなど他人に迷惑となる行為をすること」(旧都市公園条例4条12号)に該当し禁止行為にあたるため今後も中止を求める、と回答してきました。
その後7月、団支部は名古屋市の上記回答に反論し、改めて不当な妨害・干渉を行わないよう要請書を提出するとともに面談を求めました。
そうしたところ、9月になり、名古屋市の担当者から、従前の名古屋市の条例解釈は誤りであった、すなわち、①客観的に他の利用者の迷惑とならない態様での宣伝・署名活動については条例上の禁止行為に該当しない、②公園条例の「広告」の解釈として、「内容や目的が商業的、営利的なもの」でなければ該当しない、③今後は名古屋市が運営する鶴舞公園以外の公園を含め、ビラまき等をやめさせるようなことはしない、と従来の見解を撤回する旨の連絡があり、その後、9月11日付で、当該内容の文書が交付されました。
自由な表現、宣伝活動に対する不当な妨害にたじろぐことなく、機敏に抗議・申入れをすることで、表現の自由の保障、民主主義の実現のための旺盛な活動を行うことが大切です。
弁護士 伊藤勤也(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)