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ストライキは労働者の権利!!

2023年10月02日

 8月31日、大手百貨店である「そごう・西武」の売却をめぐって、そごう・西武労働組合がストライキをしたというニュースがありました。ストライキの結果、西武池袋本店は終日、全館休業とったそうで、大手百貨店のストライキは61年ぶりだそうです。

 そもそも、ストライキとは、労働者による「争議行為」の一種であり、労働者が労働条件の改善などを訴えるために、集団で労務の提供を拒否することです。同盟罷業などとも呼ばれ、単にさぼっているだけなんじゃないのと思われる方もいるかもしれませんが、ストライキ権は労働者に認められた権利です。日本国憲法28条では、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」として憲法上の権利としても認められています。使用者と労働者とでは、力関係に優劣があるため、弱い立場である労働者が使用者に対して要求を実現するための手段として認められているものです。

 今回の西武池袋本店でのストライキは、親会社のセブン&アイ・ホールディングスが米投資ファンドに売却する方針に対して、雇用の維持がされるかを危惧して労働組合が反発したことによるものでした。結果として、投資ファンドへの売却は正式に決められたようですが、だからといって、ストライキを実施したことは意味がなかったとは言えません。

 ストライキは、仕事をしないこと自体が目的ではなく、労働組合にストライキを実施できる団結力があることが示されることにより、新たなオーナーとの協議において交渉力を上げることもできます。

 また、百貨店事業の継続と雇用維持を訴えるストライキは、メディアにも大きく取り上げられて、世間の注目を浴びましたので、新たなオーナーは、こうした声を無視しずらくもなるでしょう。オーナーといっても、何でもできるわけではありませんし、働いてくれる労働者がいなければ利益を上げることもできません。労働者の意向を無視することが現実的なリスクになるという意識が生まれることも考えられます。

 労働者の権利を行使した労働組合の姿勢に共感するとともに、使用者側には、こうした労働者の声に耳を傾けて、誠実に交渉していただきたいものです。

弁護士 加藤悠史(名古屋北法律事務所)
(「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています)

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