知って得する法律情報

2023年の道路交通法改正

2023年07月03日

 2023年4月1日から、道路交通法の改正により、すべての自転車利用者に対して、自転車用ヘルメットの着用が「努力義務」となりました。努力義務とは「~するよう努めなければならない」という規定であり、着用しなかったとしても罰則を受けることはありません。しかし、罰則がないから着用しなくてもよい、という単純な話ではありません。
 今回の道路交通法改正の背景には、警察庁が去年1年間に起きた自転車関連の事故を調査した結果、乗車中に死亡した人のうち、ヘルメットを着用していなかった人の割合は着用していた人の2倍余りだったことが発表されるなど、ヘルメットの着用と身体・生命の安全に密接な関連性が確認されていることにあります。みなさんも、普段何気なく使っている自転車について、今回の法改正をきっかけに安全意識をより高めましょう。
 あまり知られていませんが、じつは、これまでも13歳未満の方には、自転車利用時のヘルメット着用が努力義務とされていました。すべての年齢に拡大されることで、自転車利用者の死亡事故の減少が期待できます。
 道路交通法は暮らしと密接にかかわる法律である一方、社会情勢を加味して改正が行われることも多い法律です。今年は、レベル4の自動運転(特定条件下での、システムによる完全自動運転)が4月に解禁され、7月には一定の基準を満たした電動キックボードが自転車と同様に歩道を走行できる新しいルールが施行されることになっており、私たちの暮らしも変化していくことが予想されます。
 社会の変化に伴って、歩行者は、歩道を歩行している時であっても、今まで以上に周囲の安全に注意を払う必要があり、自動車や自転車などの利用者はより一層高い安全意識をもつことに努めましょう。

弁護士 村上光平(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)

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