ホウネット第14回総会・記念講演会を開催しました。
第14回総会・記念講演会を開催しました
5月27日、今池ガスビルにて「暮らしと法律を結ぶホウネット」第14回総会と記念講演会を開催しました。
総会ではまず、ホウネットの1年間の取り組みを報告。学習支援活動(名古屋市の委託事業、北医療生協が受託)の教室や子ども食堂に通う子どもたちの様子が紹介され、子どもの権利を守り実現することの重要性が改めて発信されました。また、それら活動を通じてサポーターや地域社会も成長するのだという話が説得的でした。“終活”をテーマにした連続講座の盛況ぶりも印象的でした。
続いて、次の1年の方針提案と意見交換を行いました。提案では、憲法を守り暮らしにいかすための運動を草の根から進めるため、憲法クイズを使ったミニ学習や月1回の街頭宣伝に引き続き力を注ぐことなどに力点が置かれました。子ども食堂の取り組みについて、地域の学校との連携を図るため、PTAなどに協力を求めてはどうかといった意見もありました。
記念講演は過労死問題に30年取り組んでこられた弁護士の川人博さんより「電通過労死事件から考える~人間らしく働くために」と題したお話をしていただきました。
電通の社員であった高橋まつりさんが2015年のクリスマスに自死された事件は、ご遺族の悲痛な訴えと、職場での苛烈な働き方(働かせ方)やパワーハラスメントの実態が社会に衝撃を与えました。川人弁護士は、過労死は自身が取り組むよりもずっと前から起こっていた問題であることを過去の報道番組を流しながら解説し、電通では高橋さんの事件の10年前にも過労自殺が起きていること、その際に社内システムの変更がなされたこと、しかし、それでも長時間労働が抑制されなかったことを事実をもって説明されました。また、長時間労働が蔓延する企業には、組織として不正を働く傾向が見られるとして、電通による広告料の不正請求問題などにも言及されました。
質疑応答で「30年の取り組みを通じて社会は変わったのですか」との問いかけに対し、川人弁護士は、変化はしてきたと回答。そして、強制力のある労働時間管理のシステム(法律など)を構築することと合わせ、力関係を背景にした下請け企業への無理な納期の押し付けなどの商慣行を許さない社会にしていくことや、個々の職場で労働者が声を上げることが大事で、そのためにも労働組合の存在、役割が依然として重要だと強調されました。
記念講演には約100名が参加。悲劇を繰り返す日本社会の現状を省みつつ、何ができるのかを真剣に考える機会となったと思います。
暮らしと法律を結ぶホウネット 事務局