諸外国から学んで、素敵な働き方を!
1.ヨーロッパでは、人生を楽しむために働く。
日本人は生活費を得るために働きます。失業は恐怖です。職業訓練もなく、失業手当もわずかの期間です。日本の財界の労働者対策は、働く人達をこのような環境におき、がむしゃらに働かせています。長時間労働も当たり前、わずかの年休(年20日)も取る人は半分程度です。
ヨーロッパでは年休5週間(バカンスと呼ぶ)完全に消化します。1週間の時間外労働は2時間程度です。
働き方の基本は、人生を家族と共に楽しむために働くのです。
2.こんなことは外国では全く理解されません。
アフターファイブは自分のために、これは長時間残業を止めさせる運動のスローガンでした。
家族そろって夕食を!これも労働組合の作った大切なスローガンです。ところが夕食でなく朝食を!叫んでいる都市があります。1兆円も利益を上げる世界企業、トヨタの地元です。
「家族そろって朝食を!家族団らんをもって親子の絆を深め、子供たちの健全な心を育てましょう」「みなさん、家族そろって朝ご飯を食べていますか?」
豊田市では平成15年から青少年育成団体が中心になって「家族そろって朝食を!」市民運動を進めています。最近の子供たちの中には朝ご飯を食べない子、食 べていてもひとりぼっちで食べている子が増えています。家族そろって食べることと「心と体の健康」には密接な関係があります。
トヨタの変則2交替・長時間過密労働は、働く人達の生活を根底から揺るがしています。夕食時間はまだ勤務時間なのです。とても一緒に食事はできません。そこから朝食!が生まれました。
労働者の家庭や地域社会を犠牲にしたトヨタ・システムは、外国では全く理解されません。
3.ワーク・ライフ・バランスという考え方
欧米では女性の社会進出や家族の多様化、男女労働者の意識の変化、少子高齢化などを背景にして働く人の意識が「仕事と生活」「仕事と家族」のバランスに変化してきています。
働く人には趣味や学習、地域活動、さまざまな生活の場面があります。仕事が人生だという人もいるでしょう。仕事と生活のバランスをどう図るのか、この問いかけは欧米でも日本でも、すべての労働者が直面している問題です。
重要なことは、仕事優先になっている働き方を、働く人自身が疑問視することが始まっている変化なのです。男性を含めて働く人がもっと生活を重視した働き方 にしたい。仕事も重要だが自分の生活をもっと重視したい。昇給や昇進より生活、家族を大切にしたい、という考えに企業も対応しなければ優秀な従業員を確保 できないという課題にぶつかっているのです。これがワーク・ライフ・バランスの考え方です。
4.北欧・フランス・アメリカ
充実した家族政策で知られる北欧では、ノルウェーの出産・育児休業制度に見られるように男女平等が目標でした。しかし、育児休業の取得は女性に偏り がちという現実があったのです。こうした中でノルウェーの「パパ・クオーター制」の導入をはじめ、ほかの北欧諸国も父親の育児休業取得を義務づける動きが 活発化し、「男性の育児参加」は北欧全体に広がっています。
ワーク・ライフ・バランスの支援制度として、スウェーデンのサバティカル休暇制度は、2005年1月から勤続2年以上の労働者が、手当として賃金の68%を受け取りながら、最長1年間の休暇を取得し家庭での育児や学習ができるというものです。
フランスやアメリカでも国の制度として、特徴的な取組が進んでいます。日本の常識は世界の非常識になっています。