ホウネット通信

年金分割って大丈夫?「離婚による年金分割」

2007年01月15日

年金分割って大丈夫?「離婚による年金分割」

2007年4月から、離婚による年金分割が開始されます。制度導入の背景には、?中高齢者の「熟年離婚」の増加 ?現役時代の雇用や賃金の男女格差から離婚後の年金受給額に大きな開きがある問題が指摘されていました。

離婚件数は、平成14年の約29万件をピークに平成15年以降3年間減少傾向にあります。その要因には、「年金分割」に期待し、離婚を見合わせているのではないかと推測されています。さて、年金分割制度の要点は以下のとおりです。

(1)まず、2007年(平成19年)4月以降に離婚をしていること。別居では、対象になりません。事実婚の解消も対象になります。

(2)離婚から2年以内に社会保険事務所、又は共済組合等へ請求する。請求の際、公正証書、調停調書、審判、判決等分割証明できる書類が必要です。
離婚方法は、協議、調停、審判、裁判がありますが、それぞれ該当する証明書類を準備することになります。

(3)分割の対象は、夫、妻、それぞれ厚生年金(厚生年金基金の代行部分を含む)、共済年金等(被用者年金)の婚姻期間の年月に相当する部分のみです。国民年金(基礎年金)部分は分割対象になりません。

(4)事実婚の場合は、配偶者が国民年金の第3号被保険者としての期間がある場合に、その期間が分割対象になります。

(5)分割の方法は、現金ではなく、保険料の納付記録(標準報酬月額)の分割による記録の変更によります。夫婦の被用者年金記録の合計の2分の1が分割の上限になります。相手が死亡しても、再婚しても受給する年金に影響はありません。

(6)2008年(平成20年)4月からは、第3号被保険者期間については、請求により当事者の合意
がなくても自動的に2分の1分割されます。2008年4月以降の第3号被保険者期間分が対象です。

最後に、年金分割は、夫が受け取る年金の半分が分割されると理解されている方もありますが、間違いです。過大な期待は注意が必要です。今年10月から、年金分割を控えて情報開示がされます。事前に年金記録や年金額を確認してください。

社会保険労務士 八橋 昭郎

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