ホウネット通信

「過労死、精神疾患を生まない職場を目指して」 ―第6回経営塾レポート―

2010年11月12日

 10月28日、第6回経営塾が開催されました。今回は最終回。講師は名古屋北法律事務所の長谷川一裕弁護士です。
 長谷川弁護士には、弁護士の実務の現場から見る、労災認定や会社の安全配慮義務違反の問題についてお話していただきました。講義の内容を以下に簡単に報告します。

・脳心臓疾患による過労死認定は40歳代、精神疾患の労災認定は30歳代と、働き盛りの世代が目立つ。
・長時間労働に陥った労働者に対して、会社は具体的な措置を講ずることが必要。口頭の注意だけでは足りない。労働安全衛生法では、医師の面接を受けさせる義務もある。
・前提として、労働時間の適正な把握ができているか。タイムカードなどで客観的に記録することが重要。
・職場では健康診断の確実な実施を。違反した場合は罰則もあり得る。
・厳しい競争の中で1社だけが労働条件を緩和しても、その会社が淘汰されてしまっては意味がない。ルールを厳格化して、社会全体で動いていくことが必要。
・実際に担当した労災認定や安全配慮義務違反の事件は、製造業の構内作業事故、退職勧奨による心身症等、いずれも困難だったが、一定の成果を収めることができた。

 「そもそも過労死とは」というところから、過労死やメンタルヘルスに対する社会の問題意識の変化、そして最近の法改正に至るまで、実務での経験に即して具体的に講義をしていただきました。参加者からの質問も飛び交い、熱心な議論が交わされました。

 そして、今回は最終回ということで、講義の最後に、参加された方々から一言ずつ感想を頂きました。
 「あっという間の6回だった。自分の足元を見て、今何をしなければならないかを考える良い機会になった」
 「会社経営のリスクという問題について深く考えさせられた企画だった」
 「まずは知ること。知らなければ何も始められない。その意味で経営塾に参加できたことは大きい」
 「毎回の講義のあとの懇親会が楽しかった。日ごろ交流のない業種の方と話ができたことはとても有意義だった」
 等々、嬉しいお言葉をたくさん頂き、第1期経営塾は幕を閉じました。
 中小企業経営に携わるみなさん、次回、第2期経営塾の開講にご期待ください。

弁護士 鈴木 哲郎

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