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事務所だより

今月のけんぽう 25条 生存権

2012年10月5日

今月は、憲法25条です。
 憲法25条1項は生存権を規定し、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の
生活を営む権利を有する。」と書かれてます。
 憲法の人権には、国からの権利侵害を防ぐものだけでなく、国に対して積極的
な施策を求めるものがあります。憲法25条の生存権はこのような権利の代表例で
す。この規定に基づいて、生活保護制度などの様々な社会保障政策が規定されて
います。
 憲法は、個人の権利を実現する為に国家の行動を制限するものです。そのた
め、国家の予算によって国民の権利が制限されるのではなく、国民の権利を守る
政策をとる事が出来るようにするための政治が行われなければなりません。
 権利を守るために予算が組まれることはあっても、予算を守るために権利が制
限されることはあってはならないのです。現在生活保護受給世帯の増加ととも
に、予算を圧迫する保護費の予算を削るべきだ、生活保護の打ち切りをしやすく
しようといった議論がありますが、予算を口実に国民の権利を制限する議論に対
しては警戒しないといけません。
 2項は「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生
の向上及び増進に努めなければならない。」とあり、社会福祉等に関する国の責
務を規定しています。
2012年10月5日   弁護士 白川秀之

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