水道工事談合裁判の提訴一周年集会に参加して 豆電球No.105
2010年2月8日
水道工事談合裁判の提訴一周年集会に参加して
「正月休み」で豆電球を1ヶ月以上さぼってしまいました。やんちゃな朝青龍は引退しても、小沢一郎さんは頑張っていますね。
2月7日(日)に愛西市で、海部南部水道企業団住民訴訟の提訴一周年報告集会が開かれ、参加しました。
(海部南部水道企業団住民訴訟 〜あま・なんぶ・すいどうきぎょうだん・じゅうみんそしょう〜 と読みます。海部というのはその辺りの地名です。)
愛西市、弥富市等の近隣市町村が結成した水道企業団の下水道工事において入札談合が常態化し、工事価格のつり上げが行われていたことが、談合に参加していた事業者の内部告発により発覚しました。しかも、企業団幹部が工事費積算に関する内部資料を秘密裏に提供していた官製談合の疑いが濃厚です。
地元住民が監査請求を行い、監査委員は談合の可能性が高いというクロ判定をしましたが、企業団はこれに従わなかったため、住民らが名古屋地裁に住民訴訟を提起したものです。請求の内容は、平成17年から平成19年の三カ年の間の工事を受注した業者12社と入札談合を仕切っていた協同組合、内部資料漏洩により談合に加担した企業団幹部、監督責任を怠った企業庁に対し、9000万円余の損害賠償請求訴訟を提起することを求めています。
全国で水道工事に関する談合に関わる住民訴訟は沢山提起されていますが、この事件は内部告発をした勇気ある業者がいたこと、監査委員も頑張って談合の存在を認定し企業団に法的措置を求めたことが特徴です。裁判は、いよいよ証拠調べに入ろうとしています。
昨日の報告集会には、60名以上の市民が参加し、盛況でした。弁護団の永井敦史弁護士がパワーポイントを用いて、事件の概要、談合の仕組みを詳しく解説し、好評でした。
印象的だったのは、地元の市会議員が水道料金が高すぎるという問題を粘り強く取り上げ、談合裁判の取り組みと結合して世論を広げていることでした。
永井市議(先述の永井弁護士とは別人です)は、愛西市の水道料金が愛知県内で2番目に高く、尾張地域の自治体と比較すると1.5倍から2倍になっていることについて、談合による工事費の高騰だけでなく、地盤対策として県水道からの入水比率が高いこと、水地震防災対策工事による設備投資負担が高いこと、他の会計からの負担が少なくいこと等の分析結果を報告し、少人数世帯、高齢者世帯の負担が重くなっていることも報告しました。その上に立って、談合の根絶による工事費等のコストの低減に加え、公費からの負担を拡大し、累進的料金体系を導入して、低所得者、高齢者等の負担を軽減する政策を提起していました。
永井市議は、7,8年前になりますが、産業廃棄物処理施設が建築され、ダイオキシンによる公害の発生が懸念されたとき、住民を結集して差止訴訟を提起して勝訴判決を勝ち取り(私も弁護団の一員でした)、建築を途中で断念させた運動でも先頭に立っていました。永井さんは、日本共産党所属の議員さんですが、産廃施設差止裁判でも、談合裁判も、保守と言われる人々が日本共産党の議員と一緒になって取り組んでいるところが特徴です。談合情報の内部告発も共産党の議員団宛になされた通報がきっかけでした。
私の住む小牧市では市会議員というと建設業や不動産業の方の割合が高く(一概に悪いとは言いません)、何のために議員になっているのかわからないような印象を持ったことがあります。
住民要求を取り上げ、制度の問題点を究明して政策として練り上げ、住民とともに運動を広げるーそんな地方議員さんたちが増えて欲しいものだと思いました。
2010年2月8日
弁護士 長谷川一裕