最高法規
2010年8月1日
コラム 最高法規
現在の日本では最高法規(全ての法律の頂点に立って、最高法規に違反する法律は無効とされます。)は日本国憲法です。
だから、日本国憲法に違反する法律はその効力を否定されます。一番代表的な例では昔刑法200条に存在した尊属殺重罰規定が効力を否定されています。
尊属殺とは両親、祖父母、曾祖父母といった人たちに対する殺人については死刑、無期のみという極めて重い規定でした。
このような規定は、尊属以外の人の殺人と比べて極めて重いとされて憲法14条に違反するとして刑法200条が違憲であり、無効とされました。
戦前の明治憲法の下では大日本帝国憲法が最高法規とされていました。ただ、最高法規はもう一つあるとされていました。それは現在は普通の法律とされている皇室典範です。天皇の皇位の継承と言った問題は、明治憲法の下では国体に関するものであり、大日本帝国憲法の体系からは独立していたようです。
現在は皇室典範も憲法2条「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」とされて、通常の法律と同じように考えられるようになりました。
弁護士 白川秀之