新事務所開設のご挨拶 豆電球No.35
2007年10月12日
新事務所開設のご挨拶
今回の豆電球は、10月11日にメルパルクナゴヤで開催された「加藤悠史弁護士入所・新事務所開設を祝う集い」(名古屋北法律事務所、暮らしと法律を結ぶホウネット共済)での私の挨拶を掲載させていただきます。
「既にご案内のように、名古屋北法律事務所は、9月から新たに加藤悠史弁護士が加わりました。これにより、弁護士は5名となりました。
また、10月1日に事務所を移転しました。
これまで弁護士4名で相談室は2室しかなく、会議室も狭く、いろいろご不便をおかけいたしましたが、新しい事務所では相談室は6室確保でき、20名の会議ができる会議室も確保することができました。弁護士のデスクも8席確保いたしました。
新しい事務所は、平安通駅4番出口から徒歩一分の至便な位置にあります。
従来は、階段があり、障害者の方、高齢者の方にはご不便をおかけしましたが、エレベーターで出入りできるようになりました。
名古屋北法律事務所が、積極的に新人弁護士を迎える方向に舵を取り、事務所の移転・拡張に踏み切ったのは、事務所の大規模化自体を自己目的とするもので あはありませんし、営利の拡大を求めてのことではありません。むしろ、法曹人口の拡大等によつて、弁護士、法律事務所の経営環境は厳しくなると予想してお ります。
日本では、未だに弁護士が市民にとって身近な存在ではありません。格差社会の中での貧困の拡大、リストラ解雇、労働条件の悪化、雇用の不安定化が進行しており、その権利擁護が求められております。
また、中小企業においても、史上最高の経常利益を謳歌する大企業とは対照的に、競争原理が叫ばれ、中小企業の淘汰が進み、経営環境が悪化がしており、ま た、企業経営に求められるコンプライアンスが厳しくなっております。この分野でも、法律家が果たすべき役割は大きなものがあります。
市民のくらしと権利を守るために、中企業の経営のためにも、弁護士がもっと社会に浸透し、業務の専門家をすすめ、積極的に役割を果たす必要があります。
最近、「病院のチカラ」というテレビドラマがありましたが、私は、本日は「司法のチカラ」「法律のチカラ」ということを申し上げたいと思います。法律を 武器にして、個人の権利を擁護することができることは言うまでもありません。司法は、たった一人であっても、その主張が法律に支えられ、正義に合致する場 合には、大企業に勝つことができます。それだけでなく、当事務所の伊藤勤也弁護士、白川秀之弁護士が取り組んでいる原爆訴訟、c型肝炎訴訟等の例に見られ るように、政府の政策を変えることができる、政治を変えることができるのであります。
こうした「法律のチカラ」「司法の力」を一層国民のものにするためには、法律事務所が従来の殻をうち破る必要があると私は考えます。
さらに、私は、司法修習生の指導や名古屋大学法科大学院生の指導にもあたっております。先日、司法試験合格者の発表がありましたが、今年は、2300名 の司法試験合格者が生まれ、その大部分は弁護士になるのです。こうした若き法曹の卵を、国民の人権の守り手としての育てていく、後進の育成にもっと力を注 ぐ必要があると思う訳です。
そういうことを考えた時、名古屋北法律事務所も、この際、もう少し大きな事務所として発展させなければならない、それが国民の期待に応える上で必要である、こういう決意で、私たちは、事務所の弁護士の増員をめざす方針を確立し、移転拡張に踏み切ったのであります。
事務所の移転の拡張がただで出来ると助かったのですが、そうはいきませんでした。幸い、隣に銀行があり、お金を調達することはできました。しかし、銀行というところは、お金を返さなければならないとのことであります。
清水の舞台から飛び降りるという言葉がありますが、ナゴヤツインタワーから飛び降りる気持ちで、上記の方針に舵を取ったのであります。
今日、名古屋北法律事務所がこのような到達点に立つことができたのは、ひとえにホウネットの役員、顧問先をはじめとする関係者、地域の方々のご協力の賜であります。この場を借りて改めて心から感謝いたします。
名古屋北法律事務所は、今後も、謙虚に、市民の目線に立ち、その基本的人権の擁護と社会正義の実現のために全力をつくす決意です。
また、先の国会では、憲法改正国民投票法が制定されました。私たちは、不戦の決意を固めた憲法9条、平和憲法を次の世代にひきつがなければなりません。 名古屋北法律事務所は、今後も、弁護士業務に邁進するとともに、平和と民主主義の擁護、社会の合理的な進化のために、国民と共同して積極的に活動していく 決意です。
名古屋北法律事務所とホウネットの一層の発展のために、皆様の一層の御指導、ご鞭撻を御願い申し上げる次第です」