事務所員イタリア旅行記 3
2008年3月25日
フィレンツェといえば・・・?
最後の滞在地であり、滞在時間が一番長いフィレンツェでは、美術館巡りとおみやげ探しの日々でした。
私はフィレンツェの訪問は3度目となるのですが、初めて訪れて以来この地のルネッサンス美術にミーハー根性で惚れてしまったのです。
お約束のウッフィッツィ美術館は名画の宝庫ですが、何しろすごい人なので静かに鑑賞できません。特に(日本の)ツアーのお客さん、わらわらとものすごい勢 いで通り過ぎていくのを横目で見ているとなんだか気の毒になってきます。美術館って、そんなふうに通過するものではないのでは…。
アカデミア美術館も人気の高い美術館です。ここは誰でも知っているミケランジェロの『ダヴィデ』が展示されています。
上記の美術館は大変混み合っていますが、ピッティ宮という宮殿を展示室にしているパラティーナ美術館や、元修道院のサンマルコ美術館はツアーの通り道ではないので、個人でフィレンツェに行かれる方はぜひ立ち寄ってみてください。とても豊かな時間が過ごせます。
パラティーナはラファエッロファンにはたまらない美術館で、サンマルコ美術館は後述しますがフラ・アンジェリコの名作『受胎告知』は鎮座する場所です。
稚拙な美術品談義
数あるフィレンツェのルネッサンス絵画の中で、私が特に好きなのが次に挙げる4作品です。
まずウッフィッツィ美術館のレオナルド・ダ・ヴィンチ作『受胎告知』、サンマルコ修道院の壁に描かれたフレスコ画でフラ・アンジェリコ作『受胎告知』、そしてパラティーナ美術館のラファエッロ作『大公の聖母』と『小椅子の聖母』の2枚の聖母子像。
2つの『受胎告知』は、同じテーマでありながら作家の性質が如実に表れており、私はどちらの絵も美しく聡明で両方とも好きです。
ちなみにマリアの受胎告知をテーマとした宗教画は星の数ほどあります。宗教画だけあって一般的にはどの画も信仰心に満ちた神秘的なものとなっています。
ダ・ヴィンチ作の作品は、写実的な描写を好む彼らしい作品です。マリアに懐妊を伝える天使の力強い視線が強烈で、一般的な受胎告知の絵とは全く違う印象なのです。
端的に言って「かっこいい」。
フラ・アンジェリコのフレスコ画は、修道院の階段を上った突き当たりに突然現れます。まずこのインパクト。
パステル調の色彩で透明感があり、清楚な美に溢れています。ひざまづき、上目遣いに天使を恭しく迎えるマリアの美しいこと。
私はこの『受胎告知』を鑑賞するためだけに、安くない入場料を払ってでも行きたい美術館です。
ラファエッロは個人的に好きな画家で、彼が描いた聖母子像はいくつかあるのですが、この2作品は同じ美術館の同じ展示室に向かい合わせで飾られているのでインパクトが違います。
『大公の聖母』は、黒い背景に浮かび上がるマリアと幼子のイエスがこの上なく神秘的。伏し目がちのマリアの表情は慈愛に満ちています。
対面する『小椅子の聖母』は、少し幼い顔立ちのマリアが、愛らしい息子を抱き締めてほおずりしながらこちらを見ている図。まるで「見て、私の可愛い赤ちゃん!」と言っているよう。胸がきゅんとしてしまいます。
それぞれ全く違う作風にもかかわらず、どちらも高貴な聖母が微笑んでいて、展示室を立ち去ることができなくなってしまいます。ああ、持ち帰ってずーっと眺めていたい…
何度でも訪れたい国
フィレンツェはルネッサンス美術の都であると同時に職人の街でもあります。
路地裏の職人の工房を覗くのが街歩きの醍醐味です。私はあまりブランドには興味がない代わり、こういう職人さんの作るものには弱いのです。
革製品、貴金属、靴屋さん、帽子屋さん。意外に多いのが古美術店。なんか、でっかい彫刻とかアンティークのシャンデリアとか売っているのですが、これで商売になっているのだから不思議な街です。
イタリア最後の夜は、最後の晩餐としゃれ込んでちょっと贅沢にフルメニューに挑戦しました。ふらっと入ったトラットリアでしたが、『地球の歩き方』にも掲載されているお店でした。
トリフがけのスパゲッティ、トリッパ(牛の胃袋の煮込み)、イノシシ肉の煮込みなど、郷土料理をたらふく食べました。最後はもちろんティラミス。
いや〜、うまかった!!
普段清貧・粗食を推奨し、あまりグルメにこだわらない相方が珍しく「この店ならまた食べに来たいと思う」とか言ってました。
それにしてもイタリア(サンマリノも含めてしまいますが)は魅力的な国です。美術、建築、歴史、人柄。お料理は何を食べてもおいしいし(ごくたまに失敗もある)。
スリが多いとか治安が悪いとかよく言われますが、少なくとも今回は一度も危ない目に遭いませんでした。
今度はいつ行けるかわかりませんが、もっともっと知りたい国です。今度は自然の多い山間部に行きたいなぁ。