事務所員イタリア旅行記 2
2008年3月25日
サンマリノという国を知っていますか
ヴェネツィアからフィレンツェに戻る前に、鉄道の主要幹線から外れて憧れの小国サンマリノへ。
サンマリノは、イタリア国内のアドリア海側にある小さな国です。鉄道駅がないので、イタリアのリミニという駅からサンマリノ行きのバスに乗ります。
この小国の中心部は、なんと山のてっぺんにポツンと存在しているのです。世界最古の共和国として、イタリアが統一されるはるか昔から、幾度と無く敵の侵攻を退けながら自由と独立の国を維持してきたのだとか。
歴史の苦手な私でも、おそらくこの国ができた頃、周辺諸国は王侯貴族が執政をしていたであろうことは想像できるわけです。そんな中で、民衆が議会をつくり、国民全員で政治を動かしていたという歴史がものすごい。
また、3万人程度の人口で国民同士が「顔見知り」のため、公正な裁判ができないからという理由で、判事は全て外国人なのだそうです。古来よりサンマリノの国民は、日本人の常識では到底及ばないほど進歩した政治を行っていたんですね。
今は平和な観光立国ですが、大変偉大な国家なのです。
観光地のシーズンオフほど寂しいものはない
さて、訪問時のサンマリノはこの上ないくらいオフシーズンでした。
旅行者のバイブル『地球の歩き方』の掲載ホテルは休業中だし、ようやく到着した街の中のレストランも土産店もほとんど閉店。
観光の中心部である旧市街は1時間もあれば一巡りできてしまうため、時間を持て余した観光客が所在なげに歩いている程度です。立派な政庁舎の前では、夏の観光シーズンならば衛兵の交代式なんかが見られるそうですが、今は空ばかりぽかんと広いただの広場です。
お腹を空かせて街をさまよった挙げ句、この日は食事にありつけないと夕方になって悟った私たち。
結局、数少ないバール(ショットバー)で温めてもらったピザパンを買い、唯一開店していたスーパーでワインとつまみを購入して、部屋でしんみりすることに決めました。
でもここで嬉しい発見が。
分厚いパンにピザソースを塗っただけのどうってことのないピザパンが意外にいけたこと。
スーパーで買った地元の安ワイン(日本円でフルボトル200円くらいでしょうか)が意外に上等だったこと。
そして、ろくにしゃべれない英語と、挨拶と数くらいしか知らないイタリア語を駆使して店のお兄さんに見繕って切り分けてもらった生ハム・サラミ・チーズのなんと美味なこと!
これこそ、現地でなければ味わえない極上の食材だと思いました。
つたない英語にもかかわらず「ノープロブレム♪」と聞き取ってくれた優しいお店のお兄さんのお陰で、ひとつ大きな冒険ができました。
今後ヨーロッパを旅行する時の醍醐味になりそうです。
天空の古城!!
シーズンは違えど、景色は同じ。
サンマリノ共和国の国旗には、ブルーの地に3つの塔が描かれています。
国のシンボルとなっている3つの塔は、それはそれは美しかった。
切り立った崖に沿って城壁がつくられ、崖の先端部分に大きな砦を構えているのです。それぞれの塔からは別の塔が見渡せるようになっていて、まさに天然の要塞、天空の城。
美しい映画の一場面のようでした。同じようなアングルの写真を何枚撮っても飽きないのです。
よくもまあこんなところに国なんかつくったものだと思う一方、こんな場所だから侵攻されにくかったのかなとも想像します。
共和国広場の近くにあるインフォメーションでは、入国の記念としてパスポートに観光ビザとスタンプを押してくれます(有料)。
まぁ、興味のない人にはどうでもいいものですが、「ここまで来た」というステータスが欲しければ絶対に外せないイベントですね。もちろん私たちもスタンプを押してもらいました。
だって、本当に自分たちで調べてここまで来たんだもん。
あまりにも時期が悪すぎたことが反省点ではありますが、時間が経つのを忘れるような空間を体験できたことも事実。もう少しレストランが開いている時期に、ぼんやり滞在するのも良いなぁと思いました。
年に2度行われる執政交代式は、近隣諸国の要人も来て華やかな雰囲気になるのだとか。そういうタイミングで入国したいですね。