~15周年特集 在日コリアン1世の女性の終活支援
2016年10月11日
1 核家族化、高齢化社会の進展に伴い、配偶者亡き後一人暮らしを余儀なくされる高齢者が増加しています。弁護士は、判断能力が衰えた後の財産管理、任意後見、遺言作成、執行などの業務を通じて、そうした方々が自分らしく生を全うし、また、亡くなった後の財産処分などにも自身の希望を反映させるためのお手伝いをさせていただきます。
こうした“終活”支援に関して、忘れられない依頼者がいます。
2 彼女は日本人の夫を事故で早くに亡くした在日コリアン一世でした。唯一親交のある親族は、朝鮮民主主義人民共和国に暮らす妹たち。我が子同然の甥姪の成長を楽しみに、年1回訪朝するために切り詰めた生活を続けていましたが、70歳を過ぎて将来が心配になり、名古屋北法律事務所に相談に見えました。自分が認知症や重い病気になったときにも、朝鮮の妹たちへの生活援助を続けたい、亡くなった後は、自宅を処分して妹達に相続させたいとのご依頼でした。日本政府の経済制裁のため朝鮮への送金は禁止されており、生活費の援助は直接持参の方法しかなく、夜も眠れないほど自分が倒れた後の家族の生活を心配されていました。希望通りの任意後見契約を結び、遺言書を作成させていただいた後は、「何年ぶりかで夜ぐっすり眠れるのよ」と笑顔を見せてくださいました。
3 その後、癌を患われ療養生活に入られたため、私が朝鮮の親族と連絡を取りながら財産管理を行い、葬儀も執り行わせていただきました。御遺骨は、遺言書通りに整理した財産とともに朝鮮の親族に届け、朝鮮式の供養をしていただくことになりました。
臨終の席にも立ち会えなかった妹さん達の悲しみは深く、歴史に翻弄された在日コリアン一世の苦しみ、その中で育まれた家族のきずなの強さに心打たれた事件でした。
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