~15周年特集 交通事故-過失割合が争点となり訴訟で大幅な増額を勝ち取った事例 ~
2016年3月30日
(1)事案
事案は、高齢者の方(依頼者)が被害者となった交通事故です。車道をバイクで走行していた加害者と衝突しました。
被害者は、事故により重い後遺障害を負いました。頭部外傷後の「高次脳機能障害」により、やがて事故の記憶を述べることすら困難な状態になりました。
損害額は、将来の付添看護費用や慰謝料を中心に、数千万円に上りました。
(2)争点
争いになったのは、事故の状況です。
被害者がバイクと衝突したとき、自転車に乗っていたのか、それとも自転車を引いて歩いていたのか。また、衝突の場所は、横断歩道からどの程度離れていたのか。こういったことが問題となったのですが、如何せん、被害者の方からは、後遺症の影響で明確な記憶を引き出すことができません。
事故の状況は、加害者との間の過失割合に影響し、被害者の過失が大きければ、得られる賠償額も大きく減少してしまいます。
加害者は、「被害者の側に80%の過失がある」と主張し、譲りませんでした。他方、私たちも、「証言できない人が不利に扱われてしまうようなことがあってはいけない」という思いから、過失割合については一歩も引きませんでした。
(3)訴え提起から和解へ
話合いでは解決に至らず、争いは訴訟へと場を移しました。
私たちは、実況見分調書などの警察の資料や事故直後の話などから、考えられる事故状況を具体的に主張しました。
加害者の尋問などを経て、裁判官は、過失割合について被害者に有利な心証を抱くに至りました。
裁判官から提示された和解案では、被害者の過失は3割に留まりました。その結果、賠償額は、加害者側から提示された金額から約4000万円の増額となりました。
もちろん、たくさんのお金をもらっても被害者の方の体が元に戻るわけではありませんが、被害の回復に向けて、精一杯の成果を勝ち取ることができた事件でした。
当事務所は、上記の外、多数の交通事故事件の経験を蓄積しています。詳しくはこちら
弁護士 鈴木哲郎
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