知的財産法(2)−商標−
2012年1月13日
知的財産権と総称される権利の中には、特許権や実用新案権、意匠権、著作権などさまざまなものがありますが、今回は、みなさんにとって身近な「営業上の標識」ともいうべき「商標権」について考えてみましょう。
Q1.商標って何ですか?
A1.みなさんは、商品を購入したりサービスの提供を受けるとき、それぞれの商品やサービスの中身をいちいち確かめないでも、その商品やサービスに付けられているネーミングやマークで「この商品(サービス)は大丈夫だ」と判断することがありませんか?
このネーミングやマークが「商標」であり、ある企業の商品(サービス)と、他の企業の商品(サービス)を識別する標識の役割を果たしています。そのため、商標は、「商品の顔」とか「物言わぬセールスマン」などと称されることもあります。
そして、このような標識を保護する法律として、商標法があります。
Q2.なぜ商標を保護する必要があるのですか?
A2.商標法第1条には、「商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」と書かれています。
商標は、商品を製造・販売したり、サービスを提供する企業が営業努力によって築いた信用や信頼の対象となるものです。それを他の企業が好きに使って良いということになれば、「同じマークなのに品質の劣る商品」が市場に出回ることになり、せっかく築き上げた信用は失墜してしまいます。
また、わたしたち消費者(需要者)は、商標を手掛かりに安心して商品を購入したり、サービスの提供を受けることができますが、「同じマークなのに品質の劣る商品」が市場に出回れば、マークを見てもどんな品質なのか分からず、安心して購買活動を行うことができなくなってしまうでしょう。商標法は、こうした企業や消費者の利益を守るために存在しているのです。
次回からは、商標の制度や商標をめぐるトラブルについて、より具体的な話をしていく予定です。
2011/11/1
弁護士 鈴木哲郎
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)
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