相続放棄の熟慮期間に関する特例法が成立しました
2011年6月24日
相続放棄の熟慮期間に関する特例法が成立しました
6月17日、東日本大震災で家族を亡くされた被災者等を対象に、相続放棄等の熟慮期間を本年11月30日まで一律に伸長する民法の特例法が成立しました。
◆相続放棄等の熟慮期間とは
相続放棄等の熟慮期間とは、相続が生じた際に、その相続を承認(または限定承認)するか放棄をするかを考える(熟慮する)期間のことで、これによって望まない相続(負債の相続など)を避けられるようにするためのものです。この期間については、民法上「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内」とされています。
◆特例法立法の趣旨
しかし今回の大震災の被災者である場合、被災による生活の混乱のため通常の期間中に相続の放棄や限定承認の判断をする状況になく、また、手続上必要な書類を揃えることが不可能な場合も多く家庭裁判所に熟慮期間の伸長の申立をすることが困難であることから、これを救済することが必要と考えられました。
◆伸長されるための要件
期間が伸長される方(法適用の対象者)は、
(1)平成23年3月11日において、対象区域(災害援助法が適用された区域から東京都の区域を除いた区域)に住所を有していた方
(2)平成22年12月11日以降に、自己のために相続の開始があったことを知った方
です。
◆注意点
(1)特例法施行日において既に3ヶ月の熟慮期間が過ぎていても、「対象となる方」の要件を満たす方であれば、原則として相続の放棄や限定承認をすることができます。
(2)既に単純承認をした場合や相続財産の全部又は一部を処分していた場合には、相続放棄や限定承認をすることはできません。
(3)被相続人(亡くなった方)が被災者であるか否か、相続財産が対象区域内にあるか否かは関係ありません。
(4)相続人が複数いる場合は、被災者である方のみに適用されます。
(5)平成23年11月30日までに相続放棄や限定承認をする判断ができない場合は、それ以前に家庭裁判所に熟慮期間の伸長を申し立てることが必要です。
この件についてさらに詳しくお知りになりたい方は、名古屋北法律事務所にお問い合わせいただくか、法務省の下記ホームページをご覧下さい。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00092.html
2011/6/24
名古屋北法律事務所 弁護士伊藤勤也
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