法律の改正法
2020年1月20日
昨年末には、桜が話題の国会が終了したとたんに、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で国会議員が逮捕されたり、中東のホルムズ海峡周辺への海上自衛隊の独自派遣が決まったりと劇的な幕切れでした。新しい年ではどんな展開になっていくのでしょう。
さて、今年は7月に東京五輪という目玉行事が控えています。が、その前に、4月1日から法律の世界でも重要な法律の改正法が施行されます。
ひとつは、民法のなかの債権関係の規定(契約等)です。この分野は、明治29年(1896年)の民法制定後、約120年間ほとんど改正されていませんでした。今回の改正で、①社会・経済の変化への対応を図るための見直をしたり、②実務で通用している基本的なルールを適切に明文化して分かりやすくしました。合計200項目程度の改正があり、弁護士も日々勉強せざるをえません。
①の例として、たとえば消滅時効では、業種ごとに異なる短期の時効を廃止し、原則として「知った時から5年」に統一されました。約款や法定利率、保証に関する規定も変わります。
②では、たとえば賃貸借契約では今まで規定がなかった敷金や原状回復についてのルールを条文に明記しました。
もう一つ注目されるのは労働法の分野で、「パートタイム・有期雇用労働法」が施行され、正社員と非正規社員の間の不合理な待遇差等が禁止されます(中小企業は2021年4月1日施行)。
これらの法律を人々の幸せのために有効に使い、よりよい年にしてゆきましょう。
弁護士 山内 益惠 (名古屋北法律事務所)
(「名古屋北部民商ニュース」へ寄稿した原稿を転載しています)