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知って得する法律情報

気持ちはわかる!〜身近な判例紹介〜 第1回

2012年1月5日

気持ちはわかる!〜身近な判例紹介〜
第1回 置いてけぼりにされた旅行者さん  弁護士鈴木哲郎

 当事務所では、司法を市民にもっと身近に感じてもらうことを目指しています。
そのための一つのアイデアとして、今回から、みなさんに「気持ちはわかる!」と思ってもらえるような、身近で共感できる(人によってはできない)過去の裁判を紹介して行きたいと思います。

 第1回は、海外でツアーに置いて行かれたかわいそうな旅行者さんの裁判です。

【あらすじ】

 Xさんは、Y旅行会社の企画するトルコ旅行のツアーに参加しました。ツアーには、旅行会社の添乗員と現地ガイドが同行していました。
ところが、旅行3日目の遺跡観光の際に、次の目的地に向かうツアー専用バスが、Xさんを乗せずに出発してしまったのです。
突然、異国の地でひとりぼっちにされてしまったXさん。トルコ語は話せないし、所持金もわずかです。その時の不安感は相当なものだったでしょう。持っていたデジカメを地面に叩きつけたかもしれません(想像)。
そんなXさんは、(もちろん日本に帰った後)Y旅行会社に対して慰謝料20万円を請求しました。

【裁判の結果】

 裁判所は、添乗員と現地ガイドは点呼などを行って全員が揃っていることをきちんと確認すべき義務があったとして、Xさんの言い分に理解を示しました。
もっとも、慰謝料として認められたのはたったの3万円でした。しかも、「勝手に土産物屋で買い物をしていたXさんも悪い」ということで、半分の1万5000円に減らされてしまいました(これを過失相殺といいます)。

【余談】

 バスにおいて行かれたXさんは、その後別の日本人旅行者の車に同乗し、無事次の目的地に着くことができました。
異国の地で触れる人の温かさは、旅行の醍醐味ですね。Xさんも、これに懲りずに旅行を続けてほしいものです。

今回の判例の詳細は、以下のページに掲載されています。
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201111_1.html

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