有給休暇のお話
2021年8月4日
有給休暇とは、一定期間勤務をした労働者に対して、与えられなければならない、給料の支給される休日を言います。
有給休暇は、労働者が安心して休みを取ることができ、健康を維持することができることを目的として、戦後の労働基準法制定によって定められたものです。
この有給休暇は労働基準法(労基法)39条で定められていますので、社長が「うちは有給休暇はやっていません」と言っても無効で、法律を根拠に請求することができます。
有給休暇は、「雇入れの日から6カ月間継続勤務し、その間の全労働日の8割以上出勤した場合、1年ごとに、最低10日を付与しなければならない」とされています。取得できる有給休暇の日数は、1週間の勤務期間によって異なります。いわゆる正社員(雇用主と契約した労働日数が週5日以上、または契約した労働時間が1週間30時間以上)として働く労働者の場合は、勤続年数ごとに、0.5年で10日、1.5年で11日、2.5年で12日、3.5年で14日、4.5年で16日、5.5年で18日、6.5年以上で20日となります。
誤解されやすいのですが、パート労働者やアルバイトであっても、有給休暇は与えられます。週1日だけ勤務の人でも半年勤務すれば1日の有給休暇が与えられます。
そして、2018年改正労基法(2019年4月1日施行)によって、使用者は有給休暇が10日以上の労働者に対しては、5日間の有給休暇を取得させる義務が課せられました。
使用者は労働者が有給休暇を取ることを妨害してはならず、有給休暇の取得によって不利益を与えてはいけません。使用者には時季変更権といって、有給休暇を取得されては業務が成り立たないと認められる日に請求があった場合には、別の日にする権利がありますが、単に忙しいというだけではダメで、事業に与える影響が大きい場合でなければなりません。
なお、60歳の定年後に有期雇用で再雇用される場合でも、有給休暇算定の勤続期間はリセットされません。そのため、勤務日数が20年の定年退職者を再雇用したときは、有給を20日与えなければなりません。
弁護士 白川秀之(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)