最近の消費者問題(1) こんにゃくゼリー裁判について
2010年12月27日
しばらく離婚給付に関わる連載をしてきましたが、次は消費者問題(消費者被害)についてのシリーズを開始します。
消費者問題に関する連載第1回として、最近話題になっているこんにゃく入りゼリーの問題についてお話ししたいと思います。
(1)こんにゃく入りゼリー裁判
こんにゃく入りゼリーとは、こんにゃくの粉末をいれたゼリーのことです。こんにゃく入りゼリーの誤飲死亡事故の遺族が製造会社に裁判を起こしたことが話題になりました。
裁判では、原告は、こんにゃく入りゼリーが通常のゼリーよりも弾力があり、のどに詰まりやすい点、危険性の表示が不十分な点等を理由に製造会社に責任があると主張しました。
2010年11月17日に神戸地裁姫路支部で判決が言い渡され、結論としては、製品に欠陥はないとしました。ゼリーの特性として、弾力がありかみ砕きにくい点、水に溶けにくい点、冷やして食べることで窒息のリスクが増加する点が指摘されましたが、販売時の表示の仕方、容器の形状から対策がとられている点から、欠陥とはしませんでした。
(2)裁判の意義
今回の裁判では、インターネットで製造会社を擁護する意見も多く見られました。
ただ、こんにゃく入りゼリーがもともと、咀嚼しにくく、溶けにくいという性質がある以上、製造する企業はこういった危険性に対して、十分に対策しなければなりません。欧州ではこのようなゼリーの製造を禁止する国もあります。
企業の対策がきちんとなされているかという点を問うという点で、この裁判は非常に意味があると思いますし、こういった裁判を通じてこんにゃく入りゼリーの危険性が周知され、食品に対する規制を議論する契機にもなると思います。
(3)お餅等の誤飲にも気をつけてください。
これから年末年始になってお餅を食べる機会も増えると思います。お餅も、誤飲による死亡事故の危険性があります。万が一のどに詰まらせた場合には119番通報をしつつ、以下の方法を試してください。
参考URL http://www.fsc.go.jp/sonota/yobou_syoku_jiko2005.pdf
○背部叩打(こうだ)法
乳幼児では、口の中に指を入れずに、乳児は片腕にうつぶせに乗せ顔を支えて、また、少し大きい子は立て膝で太ももがうつぶせにした子のみぞおちを圧迫するようにして、どちらも頭を低くして、背中のまん中を平手で何度も連続して叩きます。なお、腹部臓器を傷つけないよう力を加減します。
○ハイムリッヒ法(腹部突き上げ法)
大人や年長児では、後ろから両腕を回し、みぞおちの下で片方の手を握り拳にして、腹部を上方へ圧迫します。
この方法が行えない場合、横向きに寝かせて、または、座って前かがみにして背部叩打法を試みます。高齢者では食べ物が口の中にたまっているのが見えれば、まず、ハンカチやガーゼなどを巻いた指で口から掻き出すことを試みます。
2010/12/27
弁護士 白川秀之
(ホウネットメールマガジンより転載)
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