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知って得する法律情報

昨今の成年後見制度の現場から⑥ 後見監督及び後見制度支援信託

2016年6月23日

 後見人が事業に行き詰まって被後見人の貯金に手を出したり、後見人の生活費や子弟の教育費等に充当してしまうといった不正行為が後を絶ちません。それどころか、弁護士、司法書士等の専門職後見人でも、金銭横領等の不祥事が報じられています。不届き者はどこの世界にもいるものです。

 後見人事案の増加並びに不祥事の多発の中で、最高裁判所と全国の家庭裁判所は、監督体制を強化し、特に親族後見人に対する監督の強化、制度運用の見直しを始めています。

 その第1は、後見人の選任のあり方の見直しです。これまでは、申立人が希望した親族がそのまま後見人に選任されることが多かったのですが、最近では裁判所が職権で専門職を後見人に選任するケースが増えています。

 第2は、後見監督人の選任です。名古屋家裁では、最近は、預貯金等の流動資産が1200万円以上ある方については、後見監督人を選任するか、後見制度支援信託を利用する取扱いを強めているようです。選任された監督人は、財産調査を行うとともに、後見人が適正な財産管理を行っているか否かを年に3回ないし4回、後見人に面談して点検することになっています。 後見制度支援信託とは、被後見人の預貯金のうち、日常的な経費の支出に必要な部分は後見人が管理し、それを除いた部分を信託銀行に信託させる制度です。信託された財産の払い戻し、解約には裁判所の許可が必要です。流動財産が多い人に適用されているようです。

(「年金者しんぶん」へ寄稿)

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