家庭の法律・親子の巻(1)認知
2014年8月4日
親子をめぐる問題について連載します。
第1回は、「認知」について考えてみましょう。
認知とは、嫡出でない子とその親との間で法律上の親子関係を発生させる手続です。ただし、「母かどうか」は出産の事実から明らかなので、もっぱら父子関係について問題となります。
認知は、父が自ら役所に届け出て行う方法が一番簡単です(任意認知)。
任意に認知してくれないときは、家庭裁判所に認知を求める調停申立てを行うことになります。調停の場で認知することの合意が得られれば、裁判所が合意に相当する審判をして認知手続を行うことになります(審判認知)。
調停でも合意できないときは、家庭裁判所に認知の訴えを提起することができます(強制認知)。請求が認められるためには、父と子の関係を証明しなければなりません。最も有効な方法は、皆さんもご存じのDNA鑑定です。口の中の粘膜を採取する方法が一般です。
認知がなされたときは、父と子の間で親子関係が発生するので(出生時までさかのぼって発生します)、母は未成年の子のために養育費を請求できるようになります。また、子は父が亡くなったときには相続人となります。戸籍上にも父の名が記載されます。
認知の問題を最終的に決するのは血のつながりですが、血のつながりを超えた父と子の関係を描いた作品に、伊坂幸太郎の小説『重力ピエロ』があります。特に本稿とは関係ありませんが、傑作ですので一読をお勧めします。
2014年3月4日 弁護士 鈴木哲郎
(「商工新聞」 名古屋北部民商へ寄稿)