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知って得する法律情報

労働者の健康と安全(1)

2010年5月20日

 一昨年(2008年)からの不況の波は、中小企業にとっても大変な打撃ですよね。そんな中で、リストラ、コスト削減がいわれ、「仕事がきつい」「人手不足だ」という声もよくきかれます。もちろん、沢山仕事をしてもらわなければいけないときもあるでしょうし、人手が足りないときもあるでしょう。しかし、会社が成り立つためには一緒に働いてもらう社員さん(労働者)が不可欠です。そして、労働者は、身体が資本です。労働者が身体をこわしてしまっては、労働者にとってはもちろん、会社としても大変です。ですから、会社としては、職場において労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を作らなければならないのです。

 会社と労働者との関係を規定した法律は労働基準法や労働組合法など沢山ありますが、労働者が健康で安全に働けるように守らなければいけないことが「労働安全衛生法」に書かれています。

 また、使用者(会社)と労働者との関係は、労働契約を締結し、使用者が労働者に賃金を支払う一方で、労働者は使用者の指揮命令に従うことになります。会社は、指揮命令権があるので、労働者に対して強い立場にあります。これに何の規制もなければ、労働者を危険な場所で働くように指揮したりしても、労働者としては、拒むことが出来なくなってしまいます。そのため、労働契約を結んだ以上は、使用者は労働者の安全に配慮しなければいけないという義務があると判例において認められ、現在では、法律にも規定されています(労働契約法5条)。

 会社としては、労働者の安全や健康に配慮するために色々な義務があるのですが、そうはいっても、労働者が怪我をしてしまったり、仕事のために健康を壊したりすることはありますよね。その一番悲劇的な事例が過労死といわれるものです。これらは労働災害(労災)といわれていますが、労災が発生してしまった万が一のために、使用者は労働者を労災保険に加入させなければなりません。

 このように予防から事後補償まで、労働者の健康と安全のために、経営者として気を付けるべき事は沢山あります。
(今後、労働安全衛生法の基礎知識を少しずつ解説していく予定です。)

 2010年4月5日
 弁護士 加藤悠史

(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)

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