債権の回収(2)
2011年1月11日
『―債権回収のポイント―』
前回から、債権回収をテーマに連載を始めました。債権回収は企業にとっては致命的に重要なテーマですよね。それでも、債権者とこじれてしまうと、回収をするのは容易ではないケースも沢山あります。今回は、弁済を受けるためのポイントをいくつか指摘したいと思います。
(1)相手の信用調査
債権回収は、回収の段階だけでなく、契約締結の段階から少しでも意識しておくことが大切です。まず重要なことは相手の信用調査でしょう。債務者の財産を把握しておくことができればベターです。情報を得るのは難しいでしょうが、悪い噂などを聞いた場合には、特に注意をしましょう。場合によっては登記などを確認することもあります。
(2)書類に残すこと
取引をするに際して一番重要なことは、書面にして残しておくことです。契約自体は、書面がなくても合意があれば成立するのですが、書面は証拠として重要な意味を持ちます。
(3)担保をとる
債務者が任意に支払わない時に、担保をとってあると有効です。といっても、どんな契約でも担保をとれるというわけではないと思いますし、契約当事者間での力関係もあるでしょう。色々なケースにそなえて、担保の種類も様々ですので、連載の中で詳しく解説していきます。
(4)話し合いをする
債務者との話し合いができる場合には、無理な追い込みをするより話し合いをした方がいい場合もあります。債権者が強硬姿勢を崩さないことで債務者を倒産しそうな場合には、支払猶予を与えるなどの譲歩をして、確実に回収した方がいい場合もあります。
(5)督促の方法
支払いを督促するには電話をしたり、内容証明郵便を送ったりの保方があります。しかし、これらはあくまで任意での支払を促すもので、強制力はありません。強制的に支払わせるためには、民事訴訟、少額訴訟、支払督促などの法的手続が必要となります。これらの手続も連載で詳しく解説します。
今回は概括的にいくつかのポイントを説明しました。弁護士が相談を聞いて特に困るのは、書類がない場合や、相手に財産がない場合です。そういう意味では取引前の事前の準備が重要になってくるんですね。
2010/12/7
弁護士 加藤悠史
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)
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