債権の回収(13) 取引先の破産
2011年8月4日
取引先が裁判所に破産手続開始の申立てをすると、債権者は破産法で認められている方法以外では債権回収をすることができなくなります。
破産とは、債務者がその債務を完済することができない状態になった場合に、債務者の財産をお金に換えて、それを債権者に対し公平に分配することにより債務の清算をする手続です。
今回は、破産手続の大まかな流れについて説明します。
(1)破産手続開始申立て
債務者自身が申立てをする「自己破産」がほとんどですが、債務者が支払をしない一方で財産を隠している疑いがあるような場合には、債権者が申立てをすることもあります。
(2)破産手続開始決定
債務者が支払不能または債務超過であると判断されると、裁判所は破産手続開始決定をし、同時に破産管財人を選任します。
破産管財人の役割は、破産者が有していた財産を金銭に換え、破産法の定める優先順位に従って債権者に配当することです。
(3)債権者がすべきこと
債権者は、債権届出期間内に「債権届出書」を裁判所に提出する必要があります。また、取引先との間で相殺ができる場合には、確実に相殺をしておきましょう。抵当権などの担保権を有している場合には、これを実行することもできます。
(4)債権者集会
債権者集会では、破産管財人から破産手続の状況について説明があります。
債権者集会に参加してもしなくても、配当の額に違いはありません。そのため、配当が全く見込めないような場合は、債権者集会に債権者が1人も参加しないことがよくあります。
(5)配当
破産管財人が破産者の財産をすべて金銭に換え、債権の調査も終えると、裁判所の許可のもと、債権者に対し配当がなされ、破産手続は終結します。
もっとも、債権者に配当できるだけの金銭が集まらず、配当がない場合もあります。
2011/8/4
弁護士 鈴木 哲郎
(ホウネット中小企業メールマガジンより転載)