借地借家問題(2) 大家さんからの条件変更通告について
2011年3月2日
借地借家問題(2)
―大家さんからの条件変更通告について―
【大家さんから家賃値上げ通告が・・・】
ある日突然、住んでいる借家の大家さんから家賃の値上げの通告が来たら、素直にそれに従わなければならないとお思いでしょうか?いいえ、そんなことはありません。
部屋(家)を借りているということは、(堅苦しく言うと)「賃貸借契約を締結している」ということですから、どんな契約であっても契約内容を一方的に変更することはできません。あくまで両当事者の合意があって初めて変更することができるのです。
家賃の額も同じことです。というより、家賃の額は契約条項の中で最も重要な要素ですので、これこそ十分な話し合いと合意がなければ変更(増減)することはできません。
それにもかかわらず一方的な増額を通告する大家さんが後を絶たないのは、こうした法的意味を知らないか、弱い立場の借主は逆らえないだろうと高をくくっていると思います。
しかし、弱い立場の借主を守るための法律として、「借地借家法」があります。借地借家法では、一旦決めた賃料額を増額するには、借主の承諾を得る場合以外では、経済事情の変動であるとか、近隣の建物の借賃と比べて不釣り合いになったときに限って、家賃の増額を求めることができると定めています。
それも、当事者間で話し合いがつかない場合には、調停を経た上で裁判をしなければならず(調停前置主義といいます)、相当の手間と時間がかかります。
したがって、大家さんから家賃値上げの連絡があったら、とりあえずはお断りした上で、値上げの理由をよく聞いて、その理由に納得できるかどうかをよく考えてから、値上げの話し合いに応じるか否かを決めるようにしてください。その話し合いの中で、自分の経済・生活状態を良く説明して、こちらの事情もよく分かってもらるようにしましょう。
2011/2/22
弁護士 伊藤勤也
(ホウネットメールマガジンより転載)
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(連載の他の記事は下記のとおりです)
・借地借家問題(1) 退去時の原状回復義務について
・借地借家問題(3) 更新料制度について
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