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知って得する法律情報

今月のけんぽう 96条 憲法改正手続

2013年4月4日

 今月は憲法96条です。

 憲法96条は憲法の改正に関する規定です。憲法を改正するためには、衆議院、参議院の総議員の3分の2以上の賛成で発議をし、国民投票で過半数が賛成することが必要です。
憲法改正の発議には総議員の3分の2以上の賛成という厳格な要件が要求されています。
現在、安倍政権は憲法96条を改正して、議員の過半数で国会の発議が出来ると規定する様改正することを目指しています。改正を求める理由としては、現行の規定では、世界的に見ても、改正しにくい憲法となっており、国民に提案される前での手続を余りに厳格にするのは、国民が憲法について意思を表明する機会が狭められることになり、かえって主権者である国民の意思を反映しないことになってしまうという点を挙げます。

 しかしながら、憲法とは、国民の権利と自由を守るために、国家権力を制限するための法です。96条が改正されてしまうと、そういった国家権力の制限を回避して、国民の権利を容易に制限することが出来る様になってしまいます。

 また、憲法は民主主義の手続で多数の人が賛成していても、少数者の権利を侵害することが出来ない様にすることも目的としています。これは、戦前のドイツなどで民主的に決まった法律で少数者の権利が侵害された事への反省からです。
憲法の改正が容易になると言うことは、このような少数者の権利が容易に侵害されてしまう危険をはらんでいるのです。

 憲法の改正に厳格な要件が設けられたのも、このように重要な国民の権利に関する規定を簡単に変えられない様にするためであり、改正を容易にすることは、国民の権利を危険にさらすことに他ならないことに気をつけるべきです。このような憲法改正に対しては断固反対をしていくべきです。

弁護士 白川秀之

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