今月のけんぽう 31条 法定の手続の保障
2012年12月4日
今月は、憲法31条です。
憲法31条は適正手続の保障について規定しています。
憲法は国家によって人権侵害が起こされないように、国家の行動を規制するものです。
国家による人権侵害は歴史的に裁判の過程で行われてきました。例えば、えん罪の人を拷問によって自白させて刑罰を科すというのは人権侵害の最たるものです。
憲法31条は、刑罰を科したりして、権利を制限する場合には、法律による適正な手続に基づかなければならないとしています。適正な手続の具体的な内容については、重要なものがこの次の32条から40条にかけて定められています。
具体的な内容は以下の通りです。
32条 裁判を受ける権利
33条 逮捕されるには令状が必要
34条 弁護人を依頼する権利。理由無しの拘禁の禁止
35条 住居の捜索には令状が必要
36条 拷問や残虐な刑罰の禁止
37条 刑事事件では公平な裁判所の迅速な公開裁判の権利
38条 自白強要の禁止
39条 実行時に適法だった行為は刑事上の責任はない
40条 無罪判決の場合には刑事補償を受けることが出来る。
この条文による適正手続は刑事手続きで1番問題になってきますが、行政処分(運転免許の取り消し処分が代表的です)にも適用されると考えられています。
国家というものが、常に国民の権利を侵害しやすい存在だということを理解していく必要があると思います。
2012年12月4日 弁護士 白川秀之