今月のけんぽう 22条 居住、移転及び職業選択の自由
2013年2月8日
憲法22条は、居住、移転及び職業選択の自由について定めています。
「居住、移転」と「職業選択」。これらは一見、まったく別のことを定めているように思えます。しかし、居住、移転の自由は、封建制度の下で人々が領主の領地に束縛されていたことからの解放を意味しており、資本主義生産のため不可欠の前提となるものです。そうした考えから、職業選択の自由と同じ並びで置かれています。
職業選択の自由は、単にどのような職業を選択するかの自由にとどまらず、職業を遂行し利潤を追求する自由も保障しており、これは「営業(ないし職業活動)の自由」と呼ばれます。今年1月11日に最高裁判所が、医薬品のネット販売を禁止する厚生労働省令は違法だという判断をしましたが、その判決の中でも、当該規制は「憲法22条1項の保障する職業活動の自由を相当程度制約する」と述べられています。
営業の自由は、企業の経済活動を支え、資本主義経済の運営にとって不可欠の自由であるといえます。名古屋北法律事務所では、「中小企業チーム」を編制し、地域の中小企業との結びつき強化を図っていますが、憲法22条は、そうした企業のサポートという意味でも、非常に重要な意味を持っています。
弁護士 鈴木哲郎