不当寄附勧誘防止法
2023年6月1日
不当な勧誘によって高額な寄付をせまられ、家庭が困窮したり崩壊したりする事例が相次いで報告された問題を受けて、こうした不当な寄付の勧誘を未然に防止し、被害の救済、再発防止を図るため、2022年末の臨時国会において「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(不当寄附勧誘防止法)」が成立しました。同法は、2023年1月5日から段階的に施行されています。同法は、法人等が寄付の勧誘を行うに際して配慮しなければならない事項や、寄付の勧誘をするに際し、禁止行為を掲げて、それにより勧誘を受ける個人を困惑させてはならないことが明記され、救済の実効性を担保するため、行政措置や罰則規定も設けられています。
2023年4月1日からは、不当な寄付勧誘をした法人や団体に対する勧告や命令などの行政措置や罰則規定のほか、生活に不可欠な資産の処分や借金による資金調達を要求することを禁止する規定が施行されました。これに伴い、消費者庁においては、不当寄附勧誘防止法を所管し、その運用を担う「寄附勧誘対策室」が設置されています。対策室では、法律の的確な運用のために消費生活センターや、法テラスから情報提供を受けるほか、消費者庁ウェブサイトに、法人等による寄付の不当な勧誘と考えられる行為に関する情報の提供を受け付けるウェブフォームが開設され、不当な寄付の勧誘の実態把握にも乗り出しています。
不当寄附勧誘防止法の制定、施行により、個人の意思に反する寄付などが減ることを期待したいところです。お困りの場合は、お近くの弁護士や法テラス、もしくは消費者ホットライン「188」に電話でご相談することをお勧めします。
弁護士 村上光平(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)