マルチ商法、流行の兆しあり
2008年1月28日
マルチ商法、流行の兆しあり
最近、マルチ商法やそれに類似する悪質商法に関するご相談が増えています。
マルチ商法とは 「商品を販売しながら会員を勧誘するとリベートが得られるとして、消費者を販売員にして、会員を増やしながら商品を販売していく商法」(警視庁のホームページ) です。「ネットワークビジネス」などと自称していることもあります。
口コミの甘い誘いから深刻な被害
リベートで儲かる人はほんの一部であるにもかかわらず、例えば「すごくよい商品が会員割引で買える」「売れば確実に儲かる」「勧誘した人が購入する 毎に1割もらえる」など簡単に利益になるように勧誘します。最近はインターネットやメールを利用した勧誘もありますが、多くは口コミで広がる為、簡単に信 じて大金を投じてしまいますが、売れない商品を大量に抱えてしまった、多額の入会金が返ってこないなど、被害は深刻です。
マルチ商法は危険な取引
マルチ商法は、いわゆる「ねずみ構」(無限連鎖講の防止に関する法律違反)とは違い、それ自体は犯罪ではありません。しかし悪用される危険が高い 為、「連鎖販売取引」(特定商取引法第33条)として取引のやり方が厳しく規制され(勧誘目的、販売商品の品質、入会後の負担等を告げて勧誘すべきこと、 不実告知・威迫困惑行為の禁止、誇大広告の禁止、契約内容の書面交付義務など)、違反は行政処分や罰則の対象となります。
クーリングオフ制度等も使えますが・・・
もし契約してしまった場合でも、書面(および商品)を受け取った日から20日間以内であれば、契約の解除(クーリング・オフ)をすることができ、入 会後1年以内などの一定の条件を満たせば、その後も将来に向かって連鎖販売契約を解除できます。事実と違うことを告げられた場合などには、契約を取り消す ことができるという規定もあります。
これだけ消費者が保護されているのは、マルチ商法が悪用されやすいからです。危ない話には手を出さないにこしたことはありません。甘い話、まずは疑ってみてください。
弁護士 山内益恵