スポーツ観戦と誹謗中傷
2023年1月16日
ツイッターやフェイスブックといったSNS(ソーシャルネットワークサービス)が広く普及した昨今、オリンピックやサッカーワールドカップといったイベント時にSNS上で共通の話題で盛り上がり、たくさんの人が感想や意見を発信し合うことが当たり前となっています。特に、世界的なスポーツイベントにおける国別代表戦での盛り上がりは大きいですが、スポーツ観戦では、応援しているチームが負けたとき、特定の選手に対して誹謗中傷といえる過激な投稿をSNSに発信してしまう人がいます。
プレーについての意見・論評を超え、人格を無視した過激な投稿は、ときとして投稿者に法的な責任を発生させます。過去には、スポーツ選手への暴言をSNSに投稿したことが発端となって被害届が提出され、投稿者が刑法231条の「侮辱罪」の疑いで書類送検されたケースや、精神的苦痛を受けたことから民事上の責任として慰謝料の請求がされたケースがあります。
ある統計では、誹謗中傷をした人の半数が、正当な批判・論評だと思って投稿しており、誹謗中傷であることを自覚せずにSNSへ過激な内容の投稿をしてしまっていたそうです。誹謗中傷と厳しい寸評は紙一重と考える人もいますが、それをSNSで発信する際は、送信ボタンを押す前に、投稿を受け取った人がどう感じるのか、冷静になって考えることが大切です。
2023年には野球の世界大会であるWBC(ワールドベースボールクラシック)が開催されます。現役メジャーリーガーをはじめ、今回も豪華なメンバーが選出予定とされ、SNSも盛り上がることが予想されます。応援する気持ちを正しく表現し、選手たちには気持ちよくプレーしてもらいたいですね。
弁護士 村上光平(名古屋北法律事務所)
(「年金者きた」へ寄稿した原稿を転機しています)