「政治責任」と「法的責任」がアベコベ
2018年6月19日
「疑わしきは被告人の利益に」は、刑事法における大原則で、真実か否かが疑わしい事柄は、被告人にとって利益になるように認定すべき、という意味です。刑罰は人の一生を左右します。そのため、「疑惑」だけでは「法的責任」は問えないことになっています。
ところで、森友・加計学園での「お友達優遇」疑惑や公文書の改ざん問題に対し、政府の「政治責任」が追及されています。ところが政府や与党の態度を見ると、「疑惑は証明されていない」と開き直っているかのようです。しかし、政治責任は法的責任とは異なり、「疑わしきは政治家の利益に」であってはなりません。政治の私物化の疑惑が生じること自体が異常です。クリーンな政治を目指しましょう。
弁護士 矢﨑暁子 (名古屋北法律事務所)
(2018年4月「医療と暮らし」へ寄稿した原稿を転載しています)