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知って得する法律情報

「国民の祝日」と休日ってどう違うの?

2019年10月18日

祝日と休日

 今年は、5月1日が天皇即位の日として(これはもう済みました)、10月22日が即位の儀式(即位礼正殿の儀)の日として、例年より2日間休日が多いということはご存知ですよね。

 天皇代替わりの儀式に莫大な予算を使うことの是非についてはいろんな意見があると思いますが、今回はこの点は置いておいて、「休日」というのがどのように決まっているのか、祝日と休日はどう違うのか等、法律的な面から考えてみます。

 祝日については、「国民の祝日に関する法律」(祝日法)という法律があり、「国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける」として、元日(年のはじめを祝う日)、憲法記念日(日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する)、こどもの日(こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する)など、16種類の「国民の祝日」を定めています。そして「祝日」というのは、法律上これ以外にはありません。

 祝日法では、16種類の「国民の祝日」を決めるとともに、別の条文で「国民の祝日は、休日とする」としています。要するに、「国民の祝日」にするというのは単にお祝いする日、と定めただけで、当然に休日にするとはなってなくて、別の条文によってお休みとなる、という構造です。

 では、冒頭の天皇即位に関する休日は何かというと、「天皇の即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日を休日とする法律」という特別な法律で定めた「休日」とされています。単にお休みとしただけで、決して「国民こぞってお祝い」する「国民の祝日」とされたわけではないんです。

法律上の「休日」は仕事は休み?

 そして、法律で「休日」とされると、行政機関は「執務をしない日」とされ(行政機関の休日に関する法律)、裁判所や国会にも、それぞれ同様の法律があって官公庁は全て休みになるんです(地方公共団体や学校もそれぞれ同様の法律があります)。

 民間企業はどうかというと、国民の祝日を休みにすると法律で決まっているのは、銀行だけで(銀行法)、その他の会社は、各社が独自に休みを決めているのが原則ですので、「国民の祝日」=休日に仕事を休みにするかどうかは、各社の就業規則によります。

 トヨタ関連は祝日は休みじゃないと聞きますが、それ以外にも祝日を出勤日としている会社はまだまだあるのではないでしょうか。

弁護士 伊藤勤也(名古屋北法律事務所)

(「新婦人北支部・機関誌」へ寄稿した原稿を転機しています)

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