諸外国から学んで、素敵な働き方を! 3
2006年7月18日
ひくすぎる最低賃金制が話題になります。日本の平均が668円/時間、愛知県は688円です。最低賃金は時間給の下ささえの役割を担うべきですが、これでは引き下げの役割を果たしています。
ところが悪質な業者は「おまえはアルバイトだから」と600円にしたり、「おまえは外国人だから」と500円しか払わなかったり、とんでもないことが起こっています。日本の法律はすべての働く人に適用されるのです。
よく「外国ではパート労働があるのですか?」と聞かれますが、「あります」と答えます。パート労働者の賃金・労働条件が決まっているのは、国際的なのです。
1994年6月、ILO(国際労働機関)総会で、パートタイム労働に関する条約(175号)が決まりました。補足する形で勧告(182号)も採択されています。
全体で11条の条約ですが、第1条で「パートタイム労働者」という用語は、通常の労働時間がフルタイム労働者よりも少ない就業者を意味する。と書いてあ り、その他の労働条件は同じなのです。同一労働同一賃金の原則です。時間給が少ないのは差別賃金にあたり禁止されるのです。日本政府はこの条約をかたくなに批准しません。国内法を整備する気がないのです。
EUパートタイム労働指令(1997年12月)は、「雇用条件に関しパートタイムで労働するという理由だけでは、客観的な根拠によって正当化されない限り、比較可能なフルタイム労働者よりも不利な取り扱いを受けないものとする」と規定しています。
イギリス、イタリア、ドイツ、フランスなどの各国は、この指令を受けて国内法で同一労働同一賃金の原則を明記しています。有給休暇についてもフルタイム労働者と平等な取り扱いを受ける権利を保障しています。
イギリスでは2000年6月にEU指令を国内法化した「パートタイム労働者規則」が施行され、パートに対する均等な取り扱いの法整備が進んでいます。その結果2005年には男性のパートタイム労働者が10.6%まで増加しています。
「労働政策研究機構」の報告を調べますと、英国統計局「所得に関する年間調査結果」によれば、2005年4月におけるパートタイム労働者の時間あたり賃金 は、6.64ポンドでフルタイムの10.69ポンドとの差は4.05ポンドあるといっています。1ポンドは06年3月の為替レートで204円です。4.05ですから826円になります。
ええ、日本のひくいパート賃金が、時間あたり750円〜850円とすれば、これは一体なんでしょう。職種や勤続など影響があると思いますが、イギリスではフルタイムの平均が2180円で、パートは平均1354円ということです。
イギリスの1人あたりの国民所得(05年)は、36,429ドルで日本の国民所得(04年)37,180ドルと大差ありません。法律が歯止めになっているのでしょう。
さらにフランスやドイツでは社会保険加入義務もパートもフルタイムも均等です。企業は労働者の社会保険料を支払っているのです。日本ではパートはなかなか加入できません。オランダやスウェーデンでは、労働者の希望によってフルタイムかパートタイムか選択できます。
諸外国に学ぼうとすれば、国際労働条約の批准、国内法の整備、社会保障の充実などを通じて、すてきな働き方が可能になってくるのです。慢性的な残業や生活できない低賃金は、そろそろポイ〜お払い箱にしましょう。