木津川 計さん「やさしさとしての文化」 記念講演
2006年7月20日
辛抱できない現代人
いま、ケイタイ文化時代になったようです。ケイタイ電話で便利になったが、人間の資質として「待たなくなった」。君待てども、来るか来ないかわからない、心の不安が歌われたが、いまはピッピですぐわかる。もうこんな作詞は生まれてこないでしょう。相手を待つという歌がなくなり、「君の名は」のような、すれ違いのドラマが消えていきました。
いまは、ケイタイ持っていないのかとなります。文化として「当てのある待ちかたはできても、当てのない待ちかたはできない」辛抱できない、すぐキレル人間ができてきたのです。だからどうしたらいいのか、優しい文化が大切なのです。
平和主義こそ 人が安心して暮らせる
木津川さんは、国民的人気のある文化について話をされました。アニメの分野で手塚治虫の「鉄腕アトム」は国民的人気があります。手塚さんは21世紀が人間 とロボットが共存する時代になると見ていました。ロボット法をつくって、「人間を傷つけてはいけない。人間に尽くすために生まれてきた。」などの枠内で作品をつくってきました。心やさしラララ科学の子」のアトムは、人類愛、心の優しい子供として人気があったのです。手塚作品はヒューマンに満ちていました。映画の分野では「男はつらいよ」シリーズです。15億から18億人が見たそうです。山田洋次監督はなにを訴えたのでしょうか。なぜ、寅さんは国民的英雄に なったのでしょうか。そこには失われた家族が描かれていました。農村や漁村、素朴な自然が美しく描かれていました。また自由人へのあこがれを寅さんは組織 しました。マドンナに捧げる純愛と献身、指一本ふれない慕情の美しさを描いたから共感を呼んだのです。漫画のサザエさん、漫才の秋田実について、家中で安心して笑える平和主義だと高く評価しました。
負け組への応援メッセージ
木津川さんは、役者藤山寛美について愚直に生きる人達への思いやりや勝ち組負け組に分けるなら、後者に「諦めるなよ!負けるなよ!」という応援と激励を、 芝居を通じておくり続けたと話しました。参加者は、日本の文化に流れるヒューマンな考え、人間観の話に共感し笑い涙した一日となりました。