ホウネット経営塾 「事業承継と税金対策」 講師 小島光一税理士
2010年6月29日
第一期経営塾第2回講座
「事業承継と税金対策」
講師 小島光一税理士
日時 2010.6.24
報告者 弁護士長谷川一裕
【講演の骨子】
1 非上場株式に係る相続税(贈与税)の納税猶予制度
2 事業承継における株式制度の活用
3 事業承継のプロセス
4 後継者教育
講演前半は、後継者に事業承継させる場合、特に問題となる会社の株式の承継に関する問題についての基礎的な法知識です。
【非上場株式における相続税・贈与税の納税猶予制度】
父親Bが経営する自動車部品会社X社の株式をBの長男Aが相続、贈与により取得してその事業を承継していく場合、その会社の発行済議決権株式の総数の3分の2までの部分に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予する制度が平成20年10月1日の相続等に適用されることになりました。
同制度の適用を受けるためには、以下の要件等が必要です。
「中小企業であること」
「先代経営者」
1,父親Bが会社の以前に代表者であり、制度適用時には退任していること、
2,親族と併せて50%以上の株を保有し、かつBが筆頭株主であること
「事業継続要件」
1,5年間の事業継続? 2,Aが代表者であること 3,雇用の8割以上を維持すること
「経済産業大臣の認定」上記について認定を受けること。
5年以内にAが代表者を退任したり、株式を譲渡したような場合には猶予された税額を納税しなければならなくなることに注意が必要です。
【事業承継における株式制度の活用】
上記の場合で、BにはAを含めて3人の子があると仮定した場合、経営者Bは三人のこの間の相続争いが起きないようにしながら、議決権をAに継承させたい場合には、会社法の種類株式の活用がお勧めです。
小島税理士は、事業を承継しない二人の子に議決権のない株式を相続させ、Aに議決権のある普通株式を相続させる等の方法を紹介しました。この場合、定款変更による無償割り当てを行うことにより、株式の購入資金の準備も不用となります。
【事業承継のプロセス】
まずは、「経営者の気づき」から。後継者養成が社長の最後の仕事と覚悟を決めること、先代経営者から事業承継を提唱すること等が肝要です。事業承継の第一歩は、「事業の現状分析」です。経営状況によっては、一代限りで事業を畳む方が得策という判断もありえますし、また、M&Aということもあります。その上で、事業承継計画を策定し、推進していきます。
小島税理士は、ワンポイントアドバイスとして、「現社長と後継者は数年間伴走し、実力養成とともに役職社員との信頼関係を構築すること」「後継予定者には厳しく公平に接すること」等を挙げました。
【後継者教育】
小島税理士は、「親への感謝」「辛抱強いこと」等の「後継者の心構え10箇条」を紹介しました。「会社をだめにする社長はどんな社長か」ということで「公私混同」「勤務時間中に所在不明となる」「ゴルフが多い」等を挙げると、参加者の中には「自分のことかもしれない」と不安げな顔をする参加者もいました(?)。
また、「経営とは顧客の創造である」「経営とは儲かる仕組みを作り上げることである」というピーター・ドラッカーの言葉を紹介し、企業家の創造的精神こそ重要であり、その世代継承が求められていると結びました。
質疑の中では、年間110万円の贈与税の基礎控除を活用した相続対策等について質問が出ました。
参加者は、13名。二次会は、近所の「なごみや」で行いました。初参加の山本漢方製薬の山本社長、豆福の福谷社長等があいさつされました。